実力互角で熾烈なV争い
優勝候補は5指に余る大混戦。どこからでも狙えそうだが、本命には飯野祐太を推した。成績に波があり、決勝を外す場所が目立つものの、昨年は11月富山G3を含め3Vを達成。今年も7月青森で遅ればせながら初優参を果たすと、先制ラインの3番手キープから差し脚を伸ばしてVをゲットしている。攻め口は多彩なので自分で戦っても優勝は狙えるが、嵯峨昇喜郎との連係が叶うようなら前を任せよう。その嵯峨は4月あたりから調子を上げている。4月久留米G3、5月函館記念で決勝に乗ると、6月宇都宮でV、続く同月松戸では準V。松戸の決勝は先行態勢に入った松井宏に襲い掛かったが、松井の番手が遅れると後ろに降りて流れ込んでいて、柔軟性も兼ね備えている。阿部力也は強調できるような成績ではないが、6月久留米記念の最終日は吉田拓のまくりに食い下がって2着。北日本勢がレースを掌握なら浮上してきそうだ。
先行力なら石原颯が最上位だろう。ダービーで2勝をあげた昨年と比べると、最近の成績は今ひとつながら、5月函館記念1着、7月高松12着など、随所で力強い走りを披露している。トップスピード、航続距離ともにハイレベルなので、主導権さえ握れれば好勝負に持ち込める。タッグを組む原誠宏は、目標をつかんだときの捌き、差し脚はしっかりしている。5月高松の初日特選では隅田洋の逃げを利して勝ち星をゲットし、7月弥彦の準決は取鳥雄のまくりに食い下がって2着。石原が先手を奪えば連対十分。
地元地区の近畿勢も小森貴大、高久保雄介など健脚ぞろい。落車負傷明けだった7月立川は振るわなかった小森だが、続く地元の福井記念では動きが一変。一次予選は力強いまくりで2着を3車身千切ると、二次予選では佐山寛の逃げに乗っての番手まくりで2着、清水裕らに先着した。前期は2Vを飾ったように勝負強さもある。仕掛けがツボにはまれば単望める。今年の高久保は準決が壁になっていたが、6月名古屋、7月立川と続けて決勝に進出。これで波に乗れるか。
直近4カ月の競走得点トップは塚本大樹、第2位が中村圭志で熊本両者が上位を占める。最近の塚本は差し脚の伸びが良く、7月玉野では待望のS級初Vを達成。中村も直近4カ月の3連対率は66・6%と成績は安定している。しかしながら、九州の上位陣は自力型が手薄。位置取りが浮沈の鍵となりそうだ。
小林泰正、蕗澤鴻太郎の群馬コンビも侮れない。小林は6月前橋記念1着の動きは悪くなかったし、7月大宮は2着で優参。蕗澤は7月玉野15着。決勝は先行して岩谷拓のまくりに屈したものの、スピードはまずまずだった。両者とも自力勝負が基本なので並びは流動的だが、動向には注意したい。