山賀雅仁が5年ぶりのG3制覇
「今日(最終日)は母親の命日だったんですよ。普段はあんまり頼まないんだけど、力を貸してくださいってお願いしちゃった」
見えない力にも背中を押されて、*山賀雅仁が18年青森記念以来4回目のG3優勝を手にした。
青野将大と、白戸淳太郎の神奈川勢の間に入る形でラインを組んだ。「同県の間に入るのは初めて」だっただけに、普段とは違う緊張感を持っての決勝戦だった。
「(青野が志田龍星に叩かれたが)青野はまだ踏んでたし、ラインを組んでいる以上は、あそこでシビアに(切り替えて)行くよりも青野に志田君を追ってもらってと。青野が踏んで出切ってくれたし、それを抜ければ優勝かなって思ったらドキドキして。動きが固くなっちゃった。特に、今回は白戸さんに番手を回してもらってるんで、独特の緊張感でした。本当にラインのおかげで優勝できた。一人じゃ何もできないですよ」
今期はこれで13勝の固め打ち。優出した今年の当所記念から、状態をキープして走り続けている。今年のビッグレース出場はダービーの一度きりにとどまった。だが、この優勝で来年の競輪祭の出場を決めただけでなく、他のG1への出場もグッと手繰り寄せた。
「今は調子が良いし、もう一つ上で戦うには、まずは記念の決勝にしっかり乗ることだと思ってた。優勝したいとは思ってたけど、まさかこの歳でまたG3で優勝できるとは思ってなかった。(競輪祭出場が)まず一つ決まったので、1年かけてじっくり準備したい。新しく9月から弟子もできたので、一緒に成長しながら準備できたらいいですね。これで全日本選抜とか、ダービーも近づいたと思うけど、考えすぎたら駄目なので。一走、一走しっかり走って、その先に出れたら良いなって感覚です」
一走入魂の心構えで、全てのレースで最善を尽くす。レースのグレードが変わっても、その姿勢は崩さない。直後に迫った平F1は、今節以上に大事な位置付けになると言う。
「ここを優勝して、次の開催の山賀はどうなんだってみんな思うでしょう。だから次が勝負です。優勝した以上は次の場が大事。中3日でも絶対に走ります。明日か、明後日は、墓参りに行きますけどね(笑)」
地に足を付けたまま、一走、一走を積み重ねて大舞台へとカムバックしていく。
志田の番手にハマった青野将大は、最終バックからまくりを打つ。山賀には交わされたものの、準Vの結果を残した。
「初手はどこでも良かったし、自分の(仕掛ける)番が来たら行こうと思ってました。あとは、自分の好きなハイペースの競走に持ち込んでと。山賀さんに(志田の後ろに)迎え入れてもらったんで、もう一回行かないと駄目だなと思った。外から来たのが(ラインの)山賀さんで良かった。G3の決勝で初めて確定板に乗れたし、進歩していると思います」
成松春樹は、勝負所で9番手。阿部将大の巻き返しに乗り、4コーナーでは内のコースを踏んで3着に食い込んだ。
「前受けだったら3番(片岡迪之)を突っ張ると思ってた。けど、全開で踏んできたんで出させた感じでしたね。ジャンでアンコになって危なかったんですけど、阿部(将)君が無理やり仕掛けてくれた。最後にもっと突っ込めていれば。もっと気持ちを強く持っていれば優勝まであったかもしれない。でも、まさか追加で来て(決勝で)確定板に入れると思ってなかったので」