地元の絶対エースが強敵撃破!!
連日復帰戦とは思えない走りを見せていた脇本雄太に、当然のことながら人気は集中した。だが、地元の意地がある浅井康太の勝負度胸がそれを上回った。
「スタートで小川(真太郎)君が前を取って、僕らが中団で、ジャンであまりにも緩んでるとか、内が大きく空いてたりしたら、ドカンと仕掛けて先行しようっていうのは2%ぐらいは考えていました。結局イチかバチかのレースになるんで、2%でもその気持ちがあれば、どこからでも仕掛けられる」
8番手の脇本の仕掛けを待たずして、打鐘で6番手から坂井洋がカマす。脇本をすぐ後ろに置いた6番手で最終ホームを通過した浅井には、なんの焦りもない。強敵を打ち倒してきた経験があるからこそ、仕掛けの迷いも全くなかった。
「まず小川君の動きがあって、坂井君の動きがあるんですけど、周りの動きを落ち着いて判断できたと思います。イメージは、犬伏(湧也)君を相手にして勝った大垣記念。2コーナー手前で仕掛ければ、良い勝負になるんじゃないかなと」
和田健太郎に仕事をさせるまもなく、鮮やかに前をまくり切る。完全に仕掛けを合わされた脇本は、2センターですでに後退していたが、ゴールだけを目掛けて踏む浅井には一切の油断は許されなかった。
「残り30メートルを超えても、まだ100メートルあるんじゃないかってぐらいに感じました。絶対脇本に行かれての2着か、3着だって思ってた。そう思ってゴールまで踏み切れたのが勝因だったと思います。2日目に脇本に離れたけど、最後まで踏み切れた感触があった。その感触と、今日(最終日)の踏み切れた感触が似ていたんですよね。2日目の反省点を踏まえて走れたことも、良かったと思う」
今年の大垣記念以来、33回目のG3優勝。ホームバンクの四日市では、実に6度目のG3優勝だ。中部地区の大黒柱が、地元の威厳を自力で示したが、その結果だけで良しとはしない。中部地区の未来を考える浅井だからこそ、若手に発破をかける。
「こうやって、自分が中部の第一線を張っていることは、残念なことだと思う。自分が結果を出さないと伝わらないけど、若手も自力で自分以上の成績を残して、自分達が引っ張って行かないといけないってことに気づいてほしい。僕でもできることができないようじゃ、超一流にはなれないと思うので」
最高の流れに乗って、今年最後のG1競輪祭へと乗り込んでいく。もう一段階仕上げ切れば、18年以来2度目の競輪祭制覇も、十分視野に入ってくる。
「もうひと脚使えるようになれればって感じですね。脚を使って位置を取って、そこからもう一回仕掛けて勝ち切る脚。まくりじゃなくて、カマシ先行できるぐらいの脚。その脚を付けないと、完全に戻ったとは言えないです。競輪祭まで時間はないけど、やれることはやります」
2着は坂井の先行に乗った和田健太郎。
「坂井君に任せていたので、流れの中でどうするのかなって感じでした。僕の中では準決みたいな感じで、脇本君を見ながら合わせて行くんだろうと思っていた。なので、僕の中では先行は想定外だった。おそらく彼の中でも先行のプランはなかったんじゃないかなと。坂井君が先行して僕も脚がたまらなくて。それに仕掛けてくるなら真後ろにいる小川君だと思っていたら、浅井君に反応が遅れてしまった。(中部勢に)いかれてからは吸い込まれる感じで2着に入れた」
浅井マークの川口公太郎は、インの和田に伸び負けて3着。
「あんなチャンスないですよね。途中までは余裕があったんですけど。2センター過ぎぐらいから浅井さんはタレてこないというか、自分が踏んでも外に外せない感じだった。悔しいです。浅井さんに続いて2着のところが3着なので、浅井さんにもお客さんにも申し訳ない。久し振りにかなり緊張した。地元の浅井さんの声援がすごくて自分はのまれてしまった。追走技術がまだまだですね。もう少し余裕をもってあのスピード域でも戦えるようにならないと。追うまでならいいけど、そこからちゃんと付け切る、最後差しにいく所がまだまだです。今後は練習からその辺をもっと意識して取り組んでいきたい」