復帰戦でも脇本雄が主役
オールスターで落車した後は、実戦に姿を見せていない脇本雄太。体調には一抹の不安も残るが、11月からの復帰を目標に練習を積んできているのなら、8割程度の状態には戻せているのでは。トップスピード、航続距離、加速力と3拍子そろった脚力が輪界トップであることに異論を唱える者はあるまい。完調ではなくても中心視は順当だ。ベテラン南修二が脇本とタッグを組む。位置取りの確かさは相変わらずだし、最近は差し脚の伸びも申し分ない。共同通信社杯、寬仁親王牌とビッグレースで立て続けて決勝に乗っていて、寬仁親王牌の準決は古性優に食い下がり大阪ワンツー。脇本の踏み出しを凌げれば近畿コンビでの連独占は有力だ。
新田祐大、佐藤慎太郎の福島SS班コンビを重視する手もある。新田はオールスターで落車した影響がまだあるのか、最近の動きはやや物足りないが、グランドスラマーの底力は伊達ではない。位置取りもこなすので、好位置占めてのまくりに持ち込めれば福島ワンツーは大いにあろう。今年はまだ優勝には手が届いていない佐藤ながら、G1大会で存在感を示していて、調子に問題はない。ダービーで決勝3着、高松宮記念杯、寬仁親王牌はいずれも準V。獲得賞金ランキングは第3位に付けていて、グランプリ2023の出場権をほぼ手中に収めている。新田次第では首位に躍り出ても不思議ではない。
地元勢は戦力が充実している。大将格の浅井康太をはじめ、柴崎淳、坂口晃輔、谷口遼平と実力者がズラリ。浅井は当所では素晴らしい実績を残している。この大会は4Vを達成しているし、今年4月にはベイサイドナイトドリーム(G3)でもVゲット。ダービーでタイトルホルダーの仲間入りを果たした山口拳矢の存在も心強く、好連係を決めて中部勢が優勝をさらう場面は十分だろう。
関東勢もSS班平原康多をはじめ、諸橋愛、坂井洋とそろっている。寬仁親王牌では準決を乗り切れなかった平原だが、初日特選は眞杉匠の動きに乗って勝っていて、調子そのものは悪くなかった。70周年大会で記念初Vを飾った坂井が先陣を受け持ち、地元の寬仁親王牌で❺着と気を吐いた諸橋が後ろを固めればラインも強固。坂井が強気に攻めれば平原が浮上してこよう。
今年はウィナーズカップ、共同通信社杯で決勝に乗るなど、自力攻撃に迫力を増した嘉永泰斗にも魅力を感じる。寬仁親王牌の動きは今ひとつだったのは気になるが、タイミングよく仕掛けての一発には注意したい。
寬仁親王牌では3連勝で決勝に乗った和田健太郎も侮れない。連日、素晴らしい伸びを披露していた。前を任せる岩本俊介も調子は良好で、寬仁親王牌は着と2連対。千葉コンビの動向には警戒しておきたい。