郡司浩が川崎記念を4連覇
予想された降雪、大荒れの天候も杞憂に終わり、9人が発走機にそろうころには夕日が差し込んでいた。その光に照らされた郡司浩平が、真っ先にゴールを駆け抜けた。S級S班を陥落となっても、郡司が輝きを失うことはなかった。
「川崎を走るのは久々でしたし、なんとか期待に応えられた。声援に応えられて良かったです」
新S班の深谷知広に地元勢が続いて、南関勢は5車で結束。番手を回った郡司にお膳立てが整えられたが、相手は清水裕友、松浦悠士のS級S班コンビ。地元といえども、そう簡単には勝たせてもらえなかった。
「3番手が(松谷秀幸と清水裕友で)併走になっているのがわかった。(最終)1センターくらいの苦しいところで松谷さんが遅れているのもわかった」
赤板を目がけて深谷がフルアクセル。それに呼応するように踏み込んだ清水が飛び付いて、3番手が松谷と重なった。郡司は落ち着いて番手をキープ。前後に注意を払いながら、流れを見極めた。
「併走になっているのがわかったので、深谷さんもペースで駆けてくれた。それでここまで引きつけられた。(競り勝った)清水が(後ろに)入っているのがわかった。あんまり(番手から)早く出ても、清水も松浦もいるんで。あとは自分が獲りにいくところで仕掛けようと。深谷さんの頑張りのおかげで、(自分が踏む)距離的にも短くなった」
深谷が敢然と逃げるが、最終2コーナー手前で外に浮いた松谷が力尽きて、ラインの3番手以降が崩壊。あとは自身のV獲りにシフトを切り替えて集中した。
「清水は脚を使っていた。あとは松浦に先に踏み込まれるよりはと。こうやって(南関勢が)たくさん勝ち上がることはうれしい反面、難しいところもある。あらためて、その難しさを感じました」
久しぶりの7車立てとなった岸和田を完全Vで24年のスタートを切った郡司は、2日目以降から3連勝で川崎記念優勝。このあとは深谷の地元でもある静岡記念(2月1日から)をステップにして、今年最初のG1、全日本選抜に挑む。
「去年、G1で結果を残せなかったので、今年はっていうのはある。年明けからいい流れに乗れているし、気持ちだったり、パフォーマンスを落とさないように1年を続けていければ。G1だけでなく、F1も含めて取りこぼしがないように意識して走りたい」
ホームバンクでの声援は、なによりの励み。21年の全日本選抜制覇から遠ざかっているタイトル獲りで、今度は地元に朗報を届けたい。
「ハコにいけたら一番良かった」。深谷の強烈なダッシュもあり、飛び付いた清水裕友は南関ラインの3番手。松谷をさばいて最終2コーナーで単独のポジションを奪取したが、流れ込みの2着。心苦しい地元勢分断を振り返る。
「(南関勢が仕掛けてきて)合ったところでした。ハコで合えば良かったけど。地元勢には申し訳ないけど、誰かのところで粘らないと稲川(翔)さんもいるんで7番手になってしまう。勝つには地元勢には申し訳ないけど…。(併走して)内はあんまり得意じゃない。最後は伸び切れなかった」
打鐘2センター付近では単独になっていた松浦悠士。清水が競り合いにカタをつけて、4番手で直線を迎えた松浦は中のコースを踏んで3着。
「(深谷の)カマシが早かった。あんなタイミングでカマして来るとは。ちょっと(清水)裕友が踏み遅れた感じもあった。僕も余裕があれば当たりたかったけど。堀内(俊介)さんに降りられたところで脚を使った。最後は中割りにいったけど、あれで(ハンドルを)投げてたらコケてたと思う。裕友も頑張ってくれたけど、キツいレースだった」