清水裕友が単騎で強敵を粉砕
決勝戦は、佐藤壮の自転車のクリップバンドを交換した影響で、予定されていた発走時刻よりも約4分ほど遅れて行われた。単騎の不利を跳ね返して、早くも今年2度目の優勝を飾った清水裕友は「嬉しいっす」と素直に喜んだ。
深谷知広の番手から4度目の川崎記念制覇を成し遂げた郡司浩平が、前回りを買って出て南関勢は二段駆け態勢。郡司が赤板で突っ張ると、周回中に6番手の位置取りだった清水は、内を進んで4番手のポジションを手に入れた。
「初手は取れた位置から。一番後ろにならないようにとは思ってました。(小林)泰正が先に切りそうで微妙だったけど、4番手をスルッと取れた。泰正が切ったら付いて行って、次に来る寺崎(浩平)さんのところにスイッチしようかとかは考えていた。(小林が)戻ってきたんで、行けるところまで内を行ってみようと」
これ以上ない位置を確保してもなお、郡司の後ろには深谷が控えている。清水が最終2コーナーから踏み込んで、反応した深谷がバックから番手まくり。3コーナーで2人の体が重なると、そこからはSS同士の熾烈なデッドヒートだった。
「深谷さんが郡司さんを残し気味にけん制していたんで、その隙を狙って仕掛けられました。(深谷が)車間を空けるので詰まって、そのタイミングで外もいなくなったし、行きました。(年末から使っている新車が)グランプリの時もかなり良かったんですけど、そこから(調子も)良いです。新車さまさまですね」
1月大宮記念以来、11度目のG3優勝は、その大宮記念に続いて別線の二段駆けを力で粉砕してのもの。結果だけでなく、その内容からも、充実ぶりが際立っている。直後に迫った全日本選抜には、この勢いのまま臨めるだろう。
「(得意な)寒い間に稼げるだけ稼いでおきたい。結果が出てるんで、それが一番ですね。出来過ぎなんで。でも、流れが良いうちに、行けるところまで行きたい。(全日本選抜には)体調をしっかり整えて行きたい」
全日本選抜は、20年にビッグ初戴冠を果たした思い出の大会。それ以来となるG1タイトルを、輝きを取り戻した清水が全力で獲りにいく。
静岡に移籍して以来、3度目の地元記念だった深谷知広だが、番手まくりに出たものの静岡記念初制覇はならず。レース後は肩を落とした。
「全部、郡司君に任せていました。あれだけ行ってくれたのに、申し訳なかったです。(別線を)しのがないといけないし、力不足でした。(仕事をしたが)決められるところを決められていないのでまったくダメです。(清水を)張る力も残っていなかったし、外をのみ込まれた。力負けです。(番手の技術は)まだまだだけど、そういう位置を回ることも増えると思うので頑張っていかないと」
内を締めて深谷に続いた佐藤壮が3着。まずは発走前のアクシデントを詫びた。
「クリップバンドが切れてしまって、みんなに迷惑をかけてしまった。申し訳ないです。是が非でも離れちゃいけないと思った。内は空けたらダメだとそれは意識していました。(深谷の動きは)予測していたし、(追走できたことは)価値があると思う。自信にはなります。連日、前のおかげですけど、まさか記念の決勝に乗れて3着に入れるとは」