大舞台に向けて地元G3でホップ
地元のエースとしてシリーズに臨んだ山田庸平。そのプレッシャーを跳ね除けて見事に地元G3初制覇を遂げた。「前回(松阪)優勝してプレッシャーもあって、初日から納得いかなかったんですけど、今日(最終日)は動けて良かったです」
スタートの位置取りは各ラインが見合う形となったが、山田が取りに動き正攻法に構えた。最初の勝負どころは、赤板過ぎに菅原大也が町田太我の様子をうかがって勢い良く踏み込む。町田は菅原を上回るスピードで南関勢を叩いて出た。山田はレースのスピードが上がるなかでも瞬時に反応して、5手を確保した。
「スタートは町田君か、菅原君にとって欲しかったんですが、誰も出なければ、前でもいいかなと思いました。今日はあんまり緊張もしないで、周回中から余裕があって、赤板、ジャンで立ち遅れていたところを集中して、中団が取れたので脚に余裕があったと思います。反応を良くするために、イメージトレーニングをしました」
5番手の位置を取った山田は前の動きを冷静に確認すると、仕掛けるタイミングを計り、最終1センターからスパート。抜群の加速で前団に一気に襲い掛かり、4コーナー手前で先頭に立ち、そのままゴール線を先頭で通過した。
「3番手の選手は余裕がなさそうで、町田君の掛かりが良かったですけど、そこを目標にして行けました。前の様子を見て慌てて踏まずに、うまく回せて行けました」
2月全日本選抜のあとには奈良記念、福井F1を欠場。前回の松阪F1は約1カ月ぶりのレースで、今回が復帰2場所目だった。
「昨年終わりから腰、ヒザ、背中が痛くて、全日本選抜のあとは治療をしていました。昨日(3日目)、ヒザが痛くなったり、完ぺきではなかったです。今回は納得いく動きではなかったですけど、最終日の1着は次につながりますね」
地元G3優勝で弾みをつけ、4月末から日本選手権、そして5月には地元記念「大楠賞争奪戦」での戦いに挑む。
「この次、ダービー(日本選手権)と5月の武雄記念を見据えてやってきました。結果、ここで優勝ができたことは、いままでやってきたことが良かったんだと思います」
町田太我の先行を利した小倉竜二は、優勝した山田の強さを素直に認める。
「山田君のスピードが違い過ぎた。横に振って止めにいけば吹っ飛んでいたと思う。あれは無理やね。山田君じゃなければ、まくられていないと思う。気が付いたら(山田が)締めこんでくる感じでうまかった。町田君の出脚は昨日(3日目)より良かったです。今回は町田君、太田(竜馬)君、町田君、町田君でいい先行選手に恵まれた。あらためて先行選手がいてこその僕の成績だと思った」
決勝でファンの支持を集めたのは町田太我。初日特選で圧巻の逃げ切りを決め、今シリーズは4走連続で主導権を握って、最後も力強い先行を披露した。が、優勝には届かなかった。
「まだまだですね。菅原さんが切ってのところを叩いてと思っていた。菅原さんも全開で踏んでいたと思う。自分も出切るのに全開でした。準決と同じ展開だったんですけど、山田さんのスピードが違った。結局、初手ですね。小倉さんが残してくれたおかげだけど、山田さんを目がけて踏み直した。いまのフレームはダッシュがいいけど、末が甘い、今度来るフレームはいいところ取りしたやつで、5月か6月には届くと思う」