阿部将大が得意走路で大金星
S級初決勝で、初優勝を果たした22年2月当所G3。その時と同じピンク色の勝負服をまとった阿部将大が、思い出の高知バンクで2度目のG3優勝を果たした。
スタートで飛び出た阿部は、周回中に3番手の位置取りが叶う。犬伏湧也が新山響平を突っ張ってハイペースで駆けて、レースの流れは阿部に傾いた。
「犬伏さんと、新山さんの踏み合いになるし、ハマればまくり頃になると追った。(犬伏に)突っ張ってもらったので、もう(清水裕友の番手)発進だなと。清水さんの後ろだけを見ていました。清水さんが車間を空けていて、まくりに行っても弾かれると思ったし、まくり追い込みで良いかなと」
車間を切った清水が2センターから前に踏み、その後位で脚をためた阿部が追い込みをかける。ゴール寸前で交わした阿部の、右手が高々と上がった。
「正直、数メートルしか踏んでないのに脚が三角に回って、差せないかと思った。けど、伸びてくれて良かった」
高知バンクでは、S級で8走して6勝、いまだに連対を外したことがない。バンク相性は、言わずもがなだ。
「自分の中では走りやすいバンクなんです。他の人は苦手な人が多い。自分が練習している街道の感じに似ているんですよね。他の人は苦手だけど、僕は得意っていうことで、気持ちの面での余裕がありますね」
この優勝に、満足ばかりはしていられない。目前に迫った日本選手権では、九州の先導役としての役割を求められる。自分のレーススタイルを見失わず、G1の舞台を見据えていく。
「(4日間のレース内容は)全部悪い。基本、追い込んだだけのレースだった。自力ならもっと動いた方が良い。今回のメンバー的に勝ちにいったんですけど、本当はもっと自力を出して勝ちたい。次の別府は積極的に走って、ダービーへつなげたいです」
この優勝で、高知はより一層思い出深い場所となった。きっかけをもらった阿部が、次はビッグレースで大暴れする。
犬伏の突っ張り先行に乗り、絶好の展開を迎えた清水裕友だったが、最後は阿部に交わされて2着。悔しさを隠せない。
「同じ(新山)相手に、(初日特選と)同じやられ方をするのはちょっとってことで、一個は突っ張ってって感じだったんですけど。(犬伏の)掛かりは良かったと思います。最後は脚負けです。噛み合わなかった。最後もパクパクして情けない。帰って練習します。これじゃ話にならない。自転車が重く感じたし、今日(最終日)が一番だめだった」
単騎戦だった坂井洋は、勝負所で深谷知広の後ろの6番手の位置取り。3コーナーからの深谷の仕掛けを交わして3着。
「スタートは出たけど、みんな早かった。ずっと余裕はあったけど、タイミングが難しかった。(清水)裕友が車間を空けていたし。最後もあおりを受けた。もっと早く踏むなら、ホームで一人で行っちゃうかでしたね」