チャンスをモノにしてG1に弾み
寺崎浩平との先行争にも発展することなく、打鐘4コーナーで犬伏湧也が主導権を握る。3番手の松浦悠士まですんなりと出切ってラスト1周。清水裕友には願ってもない展開。だが、中団は寺崎浩平、脇本雄太の近畿勢、7番手とはいえ深谷知広が構えていただけに油断はできなかった。
「初手はわりと想定通りでした。(犬伏が寺崎を叩きに行って)一瞬、踏み合いになりそうな雰囲気があったんで構えた。けど、出切れた。(そのあとは犬伏は)掛かってたと思います。後ろも来れてないんで」
清水もこう振り返ったように、犬伏が力強く風を切って別線はクギづけ。最終バックも一本棒で通過。あとは清水が踏むだけだった。
「なんとか前に踏めたんですけど、結局、松浦さんと決まってない。(それを考えると)自分の判断がちょっと悪かったかなと思います」
自身は番手からチャンスをモノにして完勝も、後ろの松浦を引き込むことができなかった。車単では清水、松浦のラインでのワンツーが、断然の1番人気。それもあったからこそ、あの展開でただ勝つだけでは満足はいかないのだろう。
「(初日も含めて)自分のなかでは、ライン決着が少ない気がする。そこは気になるっていうか、精度を上げていきたいです。ただ、今年に入って勝てそうでっていうのが、結構あった。いろいろと力不足とか感じてたんですけど、1番人気をとりあえず勝ち切ることができて良かったですね。この前の(4月)高知記念も勝てそうでっていうのがあったんで、今日(最終日)勝ててホッとしています」
自己ジャッジも厳しい清水だが、S級S班に返り咲いた今年はすでに記念を2V。2月の全日本選抜を準V、3月のウィナーズカップ、5月の日本選手権ともに優出して、今年すでに獲得賞金は7000万円を超えている。
「今年はG1があと4つですかね。そのなかで獲れるように。しっかり目標を高くもって頑張りたいですね。毎年、全プロ記念あたりから暑くなってきて、ちょっと(調子の方が)怪しくなってくるんですよね。そういう暑さの対策とかはしっかりしていきたい。毎年、G1を獲ってって言って獲れてない。たまには賞金じゃなくて、G1を獲って(グランプリに)出たいと思います」
獲得賞金での年末のグランプリ出場は、すでに安全圏と言ってもいい獲得賞金ランク3位。しかしながら、あくまでタイトル奪取には余念がない清水は、次の前橋記念を経て、高松宮記念杯で2度目のタイトルにまい進する。
単騎の荒井崇博は。打鐘過ぎに出た近畿勢に切り替える。結果的にはそこを中四国勢が出て6番手にはなったが、脇本雄太をすくって直線半ばでは寺崎を弾きながら伸びて2着に入った。
「(後ろから押さえた寺崎が誘導を)切れると思ってたんで(近畿ラインに切り替えた)。(深谷は)モガき合いになると思って前を取ったと思うし、脚をためて一発狙いかなって。本当は外を踏みたかったんだけどね。(脇本をすくったあとに)寺崎に踏まれたので、あたって中(のコース)しかなかった。コケ過ぎていたんでね。練習じゃ別に大丈夫だけど、レースになると集中し切れていない感じだった。やっとそれがなくなってきた」
4番手確保から一撃にかけた寺崎浩平は、追い込み勝負で3着。脇本雄太とのタッグだっただけに内容を反省する。
「犬伏君が前受けすると思っていたので混乱したんですけど。(打鐘のところは深谷に突っ張られないように)ちょっと強めに踏んで切った。でも、中途半端でしたね。脚の感触的には(中四国勢を)出して4番手でもいけるかなっていうのはあったんですけど。脇本さんを連れてするレースじゃなかったですし、結果もそうですけど内容も重視していかないとなって」