前の気持ちに応えた松本貴治
仕掛けが単調になりがちな7車立て。それも実質二分戦。それだけに、スタートで後ろ攻めとなった中四国勢には、厳しい戦いだった。そのなかでも、果敢に攻めた久田裕也の気持ちをつないで、松本貴治が初のミッドナイトG3チャンピオンとなった。
「本当に久田君のおかげ。(後藤がハイペースで駆けるなかで)久田君が何回も仕掛けてくれて。その気持ちを無駄にしたくなかった」
後藤大輝が赤板で突っ張って、そのままハイピッチで駆けて行く。ペースが緩まないなかで、久田が最終ホームで仕掛けるが、今度は岩谷拓磨が番手まくり。久田が行き切れないと見た松本は、内の平原を2コーナーで押し込んでから自力に転じる。じわじわと迫っていき、ゴール前は際どい勝負。8分の1車輪差で、外の松本に軍配が上がった。21年の地元、松山記念以来のG3優勝は、慣れない時間帯を、3日間番手で戦っての完全優勝だった。
「内に平原さんが見えたけど、自分はまっすぐ踏むだけだなと。際どかったんで、勝てたかどうかは分からなかった。(ミッドナイトは)始まってしまえばあっという間に終わるんで、あまり気にならなかった。本当に、3日間前の選手が頑張ってくれて、結果が出たんだと思います」
昨年はオールスターでG1決勝に初進出。今年は初タイトルの期待もかかっていたが、全日本選抜、ダービーと、ビッグレースで立て続けに落車失格を喫し、結果を残せていなかった。この優勝を機に、潮目が変わってくるはずだ。
「調子が悪い時も、気持ちを切らさずに練習して、自信を持ってレースに臨めるようにと思ってやっている。しっかり練習して、また良いレースができるようにしたい」
真夜中の優勝インタビューに応えた松本は、この先の活躍を真剣な表情で誓った。
番手まくりの岩谷拓磨が2着。終始ハイペースのレースを終えて、なかなか息が整わない。
「本当にきつかった。もうジャンからきつかったです。(後藤)大輝がすごいピッチで駆けてるのに、久田がむりくり来てた。俺もむりくりで(番手から出て)いかないとと思っていった。ホームから1周行ってるんで、最後はもう脚がなかった」
九州ライン3番手の阪本和也が3着。内から平原に絡まれながらも、地元の意地でこらえた。
「きつかったけど、(平原に内から来られた)あそこだけは負けられなかった。負けたら、前もごっそり行かれるんで。あんなハイペースは初めてだったし、今後に生かしたい」