7車連係で文句なしの上位独占
地元勢6人に加えて、鈴木裕も勝ち上がり、南関としては7人が決勝戦に名前を連ねた。7人が出した答えは、『7車結束』。それぞれの思いをつないだ郡司浩平が、小田原記念連覇を遂げた。
7車ラインの先頭を志願した新村穣が、残り2周半を前にして誘導と車間を取り、誘導退避のタイミングから全開で駆ける。脇本雄太が、打鐘3コーナーで仕掛けるとほぼ同時に、2番手から北井佑季が発進。脇本の勢いは、最終1センター付近で止まり、離れて内を突いた阿部拓真も苦しい。この時点でほぼ、地元勢の優勝は決まった。
「新村が思い切って行って、北井さんも早めに出ないといけない展開になったと思う。脇本さんも止まってたし、あとは(松井)宏佑が引きつけるかどうかってところでした」
松井は2コーナーから北井の上をまくり、最後は郡司とのゴール勝負。差し切った郡司は、1月の川崎記念以来、通算21回目のG3制覇を飾った。7月川崎F1、平塚オールスター、そして小田原記念。「地元3連チャン」を、5度目の小田原記念制覇で締めくくった。
「前の選手の気持ちも嬉しかったし、後ろを固めてくれた先輩の気持ちも嬉しかった。道中は余裕を持って回れたし、前の選手の頑張りに尽きます。(オールスターから)日程が詰まってたからこそ、そのままの感覚でいけていたし、連日余裕を持って走れました」
6着までを南関ラインが独占。結果を出したことで、7車結束を一つの正解にした。さまざまな思いがあった中での結束を、神妙な面持ちで振り返る。
「記念もそうですし、G1でも1人でも多く勝ち上がるのを目標にしているなかで、みんな勝ち上がれたのは良かった。逆にこんなに勝ち上がって悩む部分もあったけど、みんなの意見を聞いて、まとまろうって決まった。僕だけじゃなくて、全員がこれが良い経験になって、次につながれば良いなと思います。今回はこうなったんで、まとまるのが一つの大前提になるのかなって気はしますけど、その時のメンバーとかレースにならないとわからないですね。最低限でも地元で上位を独占しないとと思ってたし、結果として良い形で終われました」
今年は、郡司が全日本選抜競輪を制し、北井が高松宮記念杯で初タイトル。松井はオールスターで決勝4着、和田真久留は高松宮記念杯で準Vと、ますます層の厚みを増す神奈川勢。郡司自身も、個の力を磨いて、地区としてのレベルアップを目指す。
「自分が一番良い位置を回れて、オイシイところを持っていったみたいな。自分が獲っていいのかなって思いもあって、北井さんや、松井が獲った方が良いのかなって思いもある。こうやってしっかりまとまって勝てましたけど、今度は自分が任されても、脇本さんに対抗できるようになりたい。自分が自力でも、コマ切れ戦でも、勝負できる脚を付けたい。それは番手でも、3番手でもそう」
神奈川は一枚岩。それを強烈に印象付けた決勝戦が終わり、郡司は表彰式から、優勝インタビューまで、一切表情を緩めず、勝って兜の緒を締めた。
北井後位から最終2コーナーで持ち出した松井宏佑が準V。
「新村君も北井さんも頑張ってくれたし、僕も行ける所からと思った。各々が頑張ったと思います。(脇本が)見えて僕の所まで来てはいなかったけど、7番手を固めてくれた人もいたので早めに踏んでいきました。待って待ってというより、行ける所から力勝負をしたかったし、出し惜しみしてもあれなんで。優勝したかったけど力不足でしたね。(南関7車での連係は)ヒリつきました」
ライン5番手の和田真久留が3着に続く。阿部に内を来られたシーンもあったが、なんとかこらえた。
「(内は)締めきれなかった。一回すごい詰まるタイミングで、皆バックを踏んでいた。脇本さんが来たので一回振ったら、(阿部に)内から来られた。それで完全に踏み遅れましたね。松井も並みの選手だったらスンナリ出れたと思うし、そしたら松井が優勝だったかも。北井さんが強すぎるがゆえにですね」