伏兵がまくり一閃!!
「まさか、自分が獲っちゃったんだなって」
あっと驚くまくり一撃。佐々木眞也は、遠慮気味にハニカんで、記念初優勝を喜んだ。
内枠の利を生かした北日本勢が前受けして、高橋晋也が、誘導を降ろして赤板から駆ける。上昇していた眞杉匠は、新山響平との外競りを決意し、北日本勢分断に出る。森田優弥も内に切り込んで、隊列は激しくヨコに揺れ動いた。単騎の佐々木は、じっと脚をためて機をうかがった。
「北日本勢が4車で強力でしたし、とにかく自分は流れに応じて、仕掛けられるところで仕掛けようと思ってました。ずっとスピードが速かったんで、自分はタイミングを逃さないようにガムシャラでした」
宿口陽一と、長島大介が後退し、佐々木は最終ホームで隊列の短くなった7番手。2コーナーから仕掛けると、最終バック過ぎに前団をのみ込んだ。そのまま後続を千切って、終わってみれば2着に6車身差を付けての圧勝。ここぞの一撃が、鮮やかに決まった。
「(2コーナーで)いけそうな感覚があったんで、いけて良かった。でも、後ろに誰か来てるんじゃないかと思った。ゴールまで何があるか分からないですし、夢中で踏んでいました」
今年のダービーでG1に初出場すると、補充で走ったサマーナイトフェスティバルを含めて、今年は4度ビッグレースに出場した。戦うステージを上げる中で、父で師匠の龍也氏(57期引退)からは、レースに臨む姿勢について、喝を入れられた。
「自分なんかが獲っちゃっていいのかなっていう気持ちは、本当にあります。まだまだ自分はこういう選手じゃない。一走、一走を積み重ねて、結果につなげていきたい。父からは、勝負は難しいんだぞと、勝負の厳しさについて、簡単なものじゃないんだと言われました。初優勝できたのは、そう言ってくれた父のおかげだと思います」
兄の龍(109期)、弟の和紀(117期)と共に、父の指導のもと切磋琢磨する日々。今日だけは、嬉しい報告ができそうだ。
「兄弟と、松谷(秀幸)さんと一緒に、父に練習メニューを組んでもらって練習している。結果が出なかったときもあるけど、こうやって記念初優勝っていう結果につながって嬉しいです。みんなでご飯に行きたいですね(笑)。親孝行したいです」
休養を挟んで、次は地元での川崎G3。「一走、一走、精一杯走りたい」と、最後は気持ちを引き締めた。
森田優弥は、赤板2コーナーで内に切り込むと、守澤太志をさばいて新山響平の後ろを確保。高橋の内から仕掛けた新山を交わして準V。
「スタートは中団になるだろうなと。削られるとも思っていたので、しのがないといけないと思っていた。結果はあれで、何もできていない。張るとサンドされるし、新山さんに付いていった。佐々木さんが強かった」
守澤太志は、森田に内からさばかれて1車下げる。立て直して森田に続き3着。
「前受けからがセオリーかなと。眞杉君がすごかった。想定はしていたんですけど。長島君をさばいたほうが展開が良くなると思って安易にやったけど、森田君がそこを逃さずにきた。タラレバですけど、いかない方が良かったかなと。内をしゃくるチャンスはあったからいけばよかった。森田君の所までいけたので。そこは反省。森田君は脚を使っていなかったし、すごい踏めていた。難しい展開になったし、前受けは安易だったかなと。次につながるように反省したい」