2年ぶりの優勝でラストバトルへ
今年も全日本選抜、高松宮記念杯、オールスター、寬仁親王牌とG1でも4度のファイナル。直近でも青森記念、寬仁親王牌、京王閣記念に続いて4場所連続での決勝進出。S級S班としてハイレベルな戦いを演じてきた新山響平だったが、なぜかここまで優勝には縁がなかった。
「(グランプリ出場の)賞金っていうより、優勝をしてなかったんで。結果を出せてなくて、今日(最終日)は人の後ろで優勝できたのは良かった」
11月19日から始まる今年のラストG1、競輪祭まではもう10日もない。それだけに一昨年11月の競輪祭以来の優勝に一息ついたのもつかの間、新山が表情を引き締める。
「(寺崎浩平に併せ込まれた中野慎詞は)早めに引いて巻き返そうっていう感じで本人も落ち着いていた。(主導権を握ってからの中野の)掛かりが本当にすごくて、全開で飛ばしている感じがあった」
寺崎にフタをされた中野が、6番手に引いて立て直しダッシュを利かせて主導権を握る。合わせて動いた寺崎が北日本分断をもくろむも、4番手の大森慶一の横が限界。中野に新山、佐藤慎太郎まで3車が出切って、寺崎を4番手に置いて最終ホームを通過した。
「(中野は最終)バックで少しタレた。けど、僕の車間の切り方が良くなかった。それで寺崎にまくりごろを与えてしまった。もう少し車間を切って止めるなりできたかなと」
2コーナー過ぎからまくった寺崎をギリギリまで引きつけた新山は、3コーナーから番手まくりを敢行。寺崎を合わせ切ると、直線でさらに加速して1車身半、寺崎を離しての完勝だった。決勝での先頭ゴールは、一昨年11月の初タイトルに輝いた競輪祭以来だった。
「今回に関しては、状態がいい感じっていうのではなかった。中野がすごい強かった。それに尽きますね。北日本のメンバーがよく勝ち上がって、ラインとして機能したのは良かった。(獲得賞金は)ちょっと抜いたくらいではすぐに逆転されるので、そこは考えずに競輪祭で優勝できるように。気を緩めないように、ここから(競輪祭までは)短期間ですけどしっかりと仕上げていきたい」
30代になって味わう初めて美酒。猛者たちが集まったS級S班の荒波にもまれて、ひと回りもふた回りも成長した新山。グランプリ出場を獲得賞金で決めるつもりは、さらさらない。
打鐘3コーナーで遅れ気味の大森をさばいた寺崎浩平が、4番手を奪って態勢を整える。新山に合わされはしたまくりだったが、2着に踏ん張った。
「(初手は)正直、どこでも良かったですね。あとは北日本のラインをどうしようかなと。本当は新山のところで勝負したかったんですけど、(中野)慎詞のダッシュが良くて大森さんのところになりました。車間を切ってしっかり脚を回していた。ただ、(車間の)詰まりどころが悪くて、(仕掛ける)行きどころが良くなかった。それでも最後まで粘れたので、収穫もあったのかなと」
新山が3コーナーで番手まくり。続いた佐藤慎太郎は、寺崎に出られる形で直線を迎えただけに、ラインでのワンツーは厳しかった。
「2着までは、いきたかったですね。(新山)響平のあの仕掛けですから、自分は寺崎に完全に出られてからだった。ただ、自分にもっと脚があればっていうのもあるし、これが現状ですね。強化していかないと。今日(最終日)は響平が確実に優勝を獲りにいった」