貫録の地元記念V4
競輪祭から動きが一変。今年最後のG1タイトルには手が届かなかった松浦悠士だが、確実に良化している感覚をつかみながら挑んだ2年ぶりの地元記念だった。シリーズ3度目の連係となった太田海也の番手から自力に転じて、自身4度目の地元記念制覇を達成した。
「(優勝した今の率直な気持ちは)うれしいです。風も強かったですし、昨日(準決勝)よりも(太田の道中の)ペースが速かったので。(最終)バックで(太田が)止まった感じがあったので踏ませてもらいました」
2日目、3日目と抜群のスタートを決めていた松浦ながら、決勝はSが取れずに中国ラインは後ろ攻めに。それでも連係実績豊富な太田を信頼しながらリードして冷静にレースを進めた。
「スタートは菅田(壱道)さんの後輪には(自分の前輪を)掛けてていたんですけど、鈴木(玄人)君が見えていなくて。車輪が掛かっていなかったので下げました。(後ろ攻めにはなってしまったが)初日もそうですけど、(突っ張りを得意としている新山に対しての切り方が太田)海也君がめちゃくちゃうまかったです」
風速1・8メートルと昨日よりも強いバック向かい風の中で、赤板からダッシュ良く押さえて迷わず駆けた太田の気持ちとカカリはもちろん把握しつつ、真後ろの池田にもチャンスがあるようにと踏み込んだ。
「あそこ(最終3コーナー)で待ったら(池田)良さん(の着)がないんで。(踏み込んだ感触は)めちゃくちゃ重たかったですけど。後ろの気配がなかったので。良さんの位置は確認できなかったのでどうかなっていう感じでした」
今年は落車に苦しむ一年で、思うようなレースができずない日々が続き、来年はS班のユニフォームを脱ぐことになるが、落ち込んでいる様子は一切なし。過去は振り返らず、前をしっかりと見つめている。
「競輪祭の前のことはもう忘れました(笑)。競輪祭が良かったので。過去のことを考えても仕方ないので。ようやく自分の走りができるようになってきましたし、これからの走りを見てもらえればなって思っています。(状態は)整ってきています。(来年の目標は)タイトルを獲りたいです。獲っていないタイトルはもちろん欲しいですけど、まずは(2月に)全日本選抜があるので。1月が走れないのは残念ですけど、1カ月練習できるのでしっかり頑張りたい」
大会連覇を目指して決勝に挑んだ山田庸平は、松浦と3車身差の2着でゴール線を通過。打鐘手前で鈴木にすくわれてしまったことが致命的だった。
「太田君のラインが後ろからは想定内でした。新山君は昨日までの3日間より、今日は出させるんじゃないかなって。そこの読みはあたっていました。ジャンの所で緩んで、すくわれるんじゃないかと思ったらすくわれてしまって。でもそこで勝負するよりも引いた方がいいかなって。ごちゃつくと新山君のカマシがくると思ったので。脚を使わないほうがいいかなと思って引きました。(打鐘過ぎに前に入った)サラ脚で中団の佐々木君が(先に)まくるんじゃないかなと。人任せになりましたけど。自分でいける力があれば。いける力がないとG1はきついので。練習を変えてまだ2週間ぐらいですけど、悪くない。来年に向けてももう少しやってみようかなと」
69周年大会以来で地元記念決勝に勝ち上がってきた池田良。3年前の決勝で松浦に離れてしまった悔しさを糧に追走することのみに集中していたが、松浦が自力に転じた最終3コーナーで踏み遅れてしまう。それでもまくってきた佐々木を懸命にブロックするナイスアシスト。最後は山田に伸び負けるも3着入線。
「スタートは松浦君が取りにいったと思うけど、後ろからになりましたね。でもどのみち(太田は)先行の組み立てだろうと思っていたので。赤板のところはうまく対応できたけど、(最終)バックで(車間が)詰まって。松浦君も(車間を)空けたと思うんですけど。内に気配もあるしでそこはうまく対応できなくて車間が空いてしまいましたね…。最後は何とかって感じで良かった。決勝の舞台、地元記念は決勝に乗りたいなと。今はこんな感じですけど、点数を上げてまた挑みたい」