• 前橋競輪場 施設整備等協賛競輪GⅢ3/27〜3/30

後記 GⅢ 前橋 03/27

番手まくりで5年振りのG3制覇

山崎芳仁

山崎芳仁

決勝優勝写真
決勝優勝写真
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 思いのほか、単調な流れだった。それだけに山崎芳仁は、難しい判断を迫られた。
 「(高橋晋也は最初に)来たラインだけ突っ張ってでした。そしたらあとは誰も来なくて。あまりにも(高橋が)ペース過ぎた」
 青板3コーナーで誘導を降ろした高橋晋也が、和田真久留の上昇を阻んでペースを握る。和田は結局、8番手に出戻って、そのままレースは流れる。3番手で車間を空ける佐々木豪、5番手の篠田幸希ともにアクションはなく、同県の後輩、高橋は先行の腹を固めてそのままペースを上げる。が、ラインは2車。山崎の後ろには、四国勢が虎視眈々とタイミングをうかがっていた。
 「(佐々木が仕掛けてきて)あれで自分が出ないと、小倉(竜二)さんに入られる。佐々木が強いのはわかっているんで。踏んだ瞬間、ググって合わせて、そのまま前に踏んだ感じです」
 3番手まくりの佐々木に合わせた山崎は、最終2コーナー過ぎから番手発進。33バンクの半周の勝負なら、後続に脅かされることもなくゴールを先頭で駆け抜けた。
 「今回は前に助けられた。自分の力じゃなくて、ラインに助けられた。もう年齢的に強くなるって言えないので、こういう時が来た時に(チャンスをモノにできるように)しっかりと練習したい」
 今年最初のG1、2月の全日本選抜では盟友、成田和也とのタッグでラインの先頭で奮闘。それだけに、まだまだグレード戦線でも通用する機動力は持ち合わせている。しかしながら、ビッグも含めたグレードレースの優勝は、20年1月の平記念以来、5年以上ぶりだった。前橋は08年に寬仁親王牌、12年にオールスターを制し、山崎にとってはゲンのいいバンクでもある。
 「あの時も後輩(渡邉一成、新田祐大)の番手だった。今回もそうだし、後輩に助けられてきた人生ですね」
 9度のG1優勝をこう振り返った山崎は、グランドスラムがかかる日本選手権が4月29日から待っている。
 「(26年に平でのグランプリ開催が決まった)そういうのはありますね。時代がタイムスリップしてくれればいいのに(笑)。でも、G1にも出られるし、あきらめてはいない」
 終わってみれば、小倉竜二とタイトルホルダー2人のワンツー。修羅の道をくぐりぬけてきた男たちが、格の違いを見せたG3だった。

 佐々木のまくりが山崎に合わされ、小倉竜二は最終バック手前で和田の進路を阻んで内に降りる。さすがの立ち回りも、山崎との差は思うように縮まらず2着まで。
 「(佐々木は)ジャンからホームにかけて行くタイミングはあったけど、うまくペースにハメられたね。(最終バック付近では)和田が内に来ていたし、(佐々木も)出ていない感じだったので割り切った。それにしても(山崎が)強かった。ゴール前が一番、掛かり切っている感じだった。スローから一気に上がっていったね。(落車明けの今シリーズは)全部2着以内だし、まとめた方、上デキです」

 和田真久留は周回中、8番手。高橋に突っ張られて再度、後方待機も、別線に動きがなく内を押し上げての3着が精いっぱい。
 「突っ張られるのはある程度、想定していた。そこから引いて、あとはほかのラインが仕掛けるんじゃないかと。自分が3番手か5番手だったら、(仕掛けて)行くところは腐るほどあったんですけど…。あとは(内を行けるところまでいって)エックスっぽく入っていったんですけど、佐々木君のところまでいけたらおもしろかった。各々の自力がハイスピードで勝負して、もう少スッキリしたレースがしたかった」

Race Playback

レース展開4
 山崎芳仁選手が、番手まくりで優勝。切り替えた小倉竜二選手が、追い込んで2着。3着に和田真久留選手。

レース経過

誘導員 : 稲村好将

 号砲で高橋晋也が出て正攻法の位置を確保。並びは高橋-山崎芳仁、佐々木豪-小倉竜二、篠田幸希-佐藤礼文-阿部大樹、和田真久留-伊代野貴照で落ち着いた。 青板1コーナーから和田が上げていくが、高橋がバックで誘導を切って突っ張る構えを見せると、無理せず8番手に戻っていく。この後は元の隊形で動きがないままレースは流れて打鐘を通過。3コーナーで和田が前に踏んでいき、浮き気味の篠田-佐藤の内をすくう。和田に並ばれた篠田は最終ホームで仕掛けたものの車が進まず不発。続いて前との車間を切っていた佐々木が詰めて2コーナーからまくるが、山崎が番手まくりで応戦。佐々木は改めて山崎を追う形になったが、動かない佐々木を見切った小倉が3コーナー入り口で佐々木の内を突く。さらに和田が小倉に続く態勢で直線へ。だが、3者の差は詰まらず山崎が押し切ってのV。小倉、和田は2、3着に終わった。

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