4連勝で地元記念初制覇
山田庸平
地元では、すでに昨年3月の万博協賛G3を優勝していた山田庸平だが、地元記念の優勝はまだなかった。ついにつかんだ地元記念制覇の栄誉。初日特選から破竹の4連勝で、牙城を守り切った。
九州4車の先頭を担った嘉永泰斗が、打鐘前から気持ちのこもった先行策に出る。ハイペースな流れで、山田庸は決して楽に番手を回った訳ではなかった。その中でも、4番手からまくった太田海也の仕掛けは察知できていた。嘉永の思いに応えるべく、山田庸はバックから番手まくりに出た。
「(嘉永)泰斗の踏み方的にオーバーペースな感じで、自分は半車身くらい空いてて、余裕はなかった。(太田のまくりは)なんとなく見えていたけど、4番手に入っているとは思っていなくて、来たタイミングがなんか違った。でも、反応できて、最後までしっかり踏めたと思います」
4コーナーでは、山田庸の後輪と、太田の前輪が接触して太田が落車してしまう。二次予選、準決は太田に前を任せていただけに「なんとも言えない感じだった」と、ゴール直後は複雑な心境だった。ただ、地元ファンの期待に、これ以上ない形で応えたことは事実。素直に、結果を喜んだ。
「優勝することは意識せず、去年は失敗しているんで、失敗しないように、楽しんで走ろうと思ってました。自分が地元でメインで走れることなんてないし、楽しもうと思ってた。地元で完全優勝できるなんて思ってなかったですし、最高の結果だと思います」
ウィナーズカップでは最終日にバンクレコードを更新し、勝ち上がりこそ逃したがシリーズ3勝。2場所で7勝の固め打ちで、状態の良さが結果に表れている。初タイトルにも、自ずと期待がかかってくる。
「風が強い中でも、周回中の感覚は良かったし、引き続き状態は良かったと思います。一日一日、自転車と向き合って、その中でG1を戦えればと思います」
一つずつ実績を積み重ねる山田庸が、最高の流れに乗って、G1の最高峰。日本選手権競輪へと乗り込んでいく。
山田久徳は、太田のダッシュに車間が空きながらも懸命に追いかける。3コーナーの山を乗り越えて、2着に入った。
「ジャンのダッシュと、次のバックで2回離れてましたし、何とか追い付いてという感じでしたけど、正直追走できていない。スタートを入れたら3回離れてましたね。近畿の選手ならそのまま離れたりもありますけど、追い付くことはできたし、近畿にはいないまた違う種類の強さというか。最低限のことはできたと思うんですけど、ほぼ自力の感じでしたね。落車明けなのを入れたら及第点かなとは思いますけど、(太田)海也のおかげです。またしっかり練習したいですね」
後ろ攻めとなった関東勢には、苦しい流れ。後方からまくり追い込んだ坂井洋を、杉森輝大が交わしたが、前が遠い3着。
「(スタートは)太田君が取りにいったら取れないなと思いましたし、初手は想定内でした。今日は嘉永君が駆けるんじゃないかなと思っていましたし、モガき合う形になっていい展開になったんですけどね。スピード域がすごかったので、緩む場所もなかった感じです。あれが現状であそこまででしたけど、欲を言うとゴール前勝負したかったですね。フレーム自体が腰が抜けている状態だったので、次回は新車を使うか考えて走ります」