九州の絆で地元G3を連続完全V
山田庸平
相手は単騎ながら勢いのある纐纈洸翔と、連勝で勝ち上がった木村皆斗。7車立てと言えど、4車で結束した九州勢に判断ミスは許されなかった。九州の先頭を担った阿部将大が突っ張り先行に出る中、木村皆斗が赤板で仕掛けてきて、叩けないと見るや番手に追い上げて九州ライン分断を狙う。地元G3の連続優勝が懸かった大事な一戦で、九州3番手を務めた山田庸平は集中力を研ぎ澄ましていた。
「(レース中は)誰かがラインを崩しにくると思ったので、3番手の位置をしっかり守り切ることを一番に考えていました」
打鐘の2センターで北津留翼が木村を捌くと、山田も大矢崇弘を弾いて北津留後位をしっかりキープ。ハイペースで逃げる阿部が最終ホームを通過すると、北津留が1センターから番手まくりに出る。4コーナーを絶好の位置で迎えた山田が最後の直線で鋭く抜け出して勝利した。これで山田は4月武雄記念に続いて6度目のG3優勝。
「(ミッドナイトの時間帯は)日に日に調整でき始めてきたという感じでした。(A級以来のミッドで)初日、2日目は難しかった。(4月の武雄記念に続いての優勝で)本当にラインのおかげで、昨日(2日目)も助けられて、今日も皆が役割をしっかりやってくれて、最高の結果で良かったです」
およそ10年8カ月ぶりのミッドナイト出走だったが、地元のエースとしてしっかりと牙城を守り、ラインの仲間に感謝を述べた。
「(改めて連続の地元G3優勝に対しては)本当に良かったし、今年も賞金が上積みできているので良かった。でもG1では結果を残せていないので次は高松宮記念杯に向けてやっていきたい。岸和田は相性が良いので、そこに向けて頑張っていきたいです」
最高の形で地元G3開催を締めくくったが、山田はまだまだ満足していない。2節後にはG1高松宮記念杯が控えている。目標を高く持ち、今後も努力を積み重ねることだろう。その先にはきっとG1初制覇が見えてくる。
井上昌己はしっかりと山田を追走して2着。レース後は肩で息をしながら、激戦を振り返った。
「休むところがなくてきつかった。阿部君が気持ちが入っていたし、ラインでワンツースリーを決められて良かったです。(木村が仕掛けてきたが)山田君もちゃんと対応していた。(最後は)どこまで行っても抜けないね。(3日間振り返って)今日以外は楽だったけど、今日がきつかった。ああいう練習をするしかないですね」
番手まくりを放った北津留翼は直線で山田と井上に交わされるも3着に入った。検車場に引き揚げてくると清々しい表情でレースを振り返った。
「阿部君が全力でいってくれたおかげですね。庸平君もスタートを取ってくれましたし。(木村と併走になり)何とか凌いででしたね。阿部君がいってくれたのが台無しになってしまうし、ホームから踏んだ方が安全かなと。最後は庸平君と昌己さんが強かったので抜かれたのは仕方ないです」