好展開を生かして地元記念V
深谷知広
地元のスター選手である深谷知広が、静岡籍になって初の伊東記念制覇を達成。今年ラストを最高の形で締めくくった。
1番車の深谷は初手を正攻法で構える。後ろ攻めの中野慎詞が押さえにくると、簗田一輝のアシストもあり、深谷は3番手を確保して理想的な展開を作った。
「前回は愛知籍だったので、静岡籍で優勝できて良かった。中野君が来るなって思っていて、簗田君が位置を確保してくれた」
先頭に立った中野は赤板から徐々にペースを上げて先行策。深谷は清水裕友や三谷竜生を後方に置いて絶好のポジションをキープしながら、徐々に車間を空ける。後ろからの仕掛けがない中、深谷は最終2コーナーから一気にまくりを繰り出した。
「清水君が仕掛けてくるのは警戒していた。成田(和也)さんも車間を空けていたし、仕掛けていくタイミングは難しかったけど、脚も溜めつつ踏み出していけたので良かったと思う」
3コーナーで逃げる中野を捕らえると、4コーナーからは番手の簗田との直線勝負。1車輪差で追撃を振り切って、通算24度目のG3制覇を成し遂げた。
「4日間通して先行もまくりもできて、充実した開催でした。3日間簗田君と決められたので、静岡でそういう連係ができたことも貴重ですし、良い大会だったと思う。(1年振り返って)前半良くて、そのあとケガがあって上手く機能しない1年だったので、来年は上手く付き合えるようにしたい。膝の状態がここ数週間で良くなったので、また来年戦えるように練習をしていきたい」
今年は2月の静岡記念を制し、全日本選抜、ウィナーズカップ、高松宮記念杯、共同通信社杯とビッグレースで4度決勝に乗り、賞金額でグランプリ出場を争いながらも、涙をのんだ深谷だったが、最終戦となる地元記念で優勝。来年に繋がる良い形で今シリーズを走り終えた。
深谷をマークした簗田一輝は最終4コーナーから踏み込むも2着。地元コンビでワンツーを決めたことは喜びながらも、悔しさを滲ませながらレースを振り返った。
「サラ脚の深谷さんのまくりは抜けないですね。強すぎました。差さなきゃいけないけど、悔しいですね。2人で勝負権のある走りをしてくれたのでゴール前勝負と思った。(深谷が仕掛けたときに車間が)普通に空いちゃいましたね。成田さんも気になったし、後ろも気になって。(優勝までは)ちょっとじゃないです。だいぶ遠いですね。でもあれを抜けるようになりたいですね。連日、しっかり付け切れてはいたので。上を目指すならもっと練習をしろっていうことですね。また頑張ります」
清水裕友は残り1周で5番手。静岡勢を追い掛けながら、最後外を踏み込むが、3着が精一杯だった。
「難しかったですね。(赤板過ぎに三谷に)入られそうで、危なかったですし。1コーナーで仕掛けたかったけど、行ったら合される感じでしたよね。深谷さんが車間を空けたので、緩んだなって思ったんですけど。不発なりには伸びたので、ああなったら溜めるしかなかった。昨日(準決)のレースが自信になりましたし、割と手応えはつかんだ開催だった。まあ、もうちょっとですね」