追い込み型有利の宇都宮競輪場。しかし、機動型の選手たちも、バンク特性を生かして奮闘した。

　金子哲は初日に末良く逃げ切ると、二次予選はまくって地元の神山雄を振り切り連勝。好感触を得てシリーズを終えた。

　「段階を踏んでやっているウエイトの成果が、成績につながったのかもしれないです。動きを自転車につなげる。つながったら重くしての反復です。その精度が上がってきています」

　山岸佳は、連日逃げ粘って初の記念準決勝に進出。その準決勝でも、果敢に駆けて武田豊を決勝に導いた。

　「準決勝はいい経験になりました。今開催は、武田さんにいろいろ話をさせてもらって、勉強になりましたね。この後に、武田さんが自力でやっていた時の長く駆ける練習内容を教えて貰えると言っていたし。バンクにも来いよと言われました。また頑張ります」

　前回の西武園記念で好走した桐山敬は、今シリーズでも１913着と３度の確定板入り。状態が上向いてきた。

　「（まくり追い込みとなった最終日は）先行できれば、３着以内には残れていたと思うし、同じ３着でもそっちの方がよかったですね。でも、今までに比べたら上等でしょ。（状態も）良いですね。今後も先行を含めた何でもありの戦法で」

　最終日の９Ｒには今回がラストとなる「熊本地震災害復興支援レース」が行われた。最後に制したのは齋藤登。レースは先行した河村雅の番手から、齋藤が追い込んで勝利。10カ月に渡る復興支援レースの幕が閉じた。

　「すべて河村君のおかげ。せっかくいってくれたのに、最後は食われて２人とも沈むよりもと思って（前に踏んだ）。（熊本の）中村（雅仁）君もいたけど、僕もそういう経験をしていて。（東日本大震災の時に）１時間前まで（津波の被害を受けた）空港の付近で練習をしていて。あそこにいたら、ここにいないです。でも、必ず自然災害はあるので、みんながどう対処するか。名の付いたレースに呼んで頂いてありがたいです」