GⅠSPECIAL Inside report GⅠ 岸和田 06/15
やっと成田和が帰ってきた
16年ぶりに東西対抗の勝ち上がりが復活。勝ち上がり概定も当時と同様に、2日目は東西に分かれて3着権利のオール二次予選。5着の1人(2日目の成績上位者)が決勝にコマを進めることができる東西王座戦(準決)よりも、狭き門だったことは言うまでもない。
「いつものG1と違って、準決は2分1以上が決勝に進める。そういう意味では二次予選が一番難しかった」と、二次予選をポイントにあげていた新田祐が優勝したのは、偶然ではないだろう。新田の高松宮記念杯連覇に花を添えたのが成田和だ。シリーズ3度の連係で2度のワンツー。13年のここ岸和田で行われた同大会では、新田とのワンツーでタイトルを奪取した。当時、まだ無冠だった新田のその後に大きな影響を与えた。しかしながら、度重なる鎖骨骨折に見舞われ、一昨年のG1出場はオールスターのみで、昨年はG1出場機会に恵まれることはなかった。その成田が13年以来となるG1表彰台に帰ってきた。
「最初はF1でもキツかったし、自分でもあれっていう感覚があった。それが徐々に戻ってきた。ただ、それもレースによって違うんで、G1で対応できるようにならないと」と、慎重な前検日のコメントは、久々のG1ファイナルのあとも変わることはなかった。新田のまくりに続いた成田がこう言う。
「新田が(優勝して)よかったなっていうのと同時に、自分が追走できてよかったっていうのがある。こんなに早くこういう機会が来るとは思わなかったし、なんとか挫けずに我慢してきたんでよかった。ただ、今回はいい流れだったっていうのもあるんで」
新山響は前回の取手記念で久々にG戦優出を果たしたが、今シリーズは7917着。
「(変えた踏み方が)カマシだとあんまり良くないみたい。練習量をむちゃくちゃ増やして、その疲れもあったのかもしれない。でも、練習量を増やして負けたら、2倍悔しい。いまは練習量を増やしているのがあんまりハマってない感じがあるけど、1年くらいは続けていきたい。そのなかで結果も出さないと」
6184着の早坂秀は、2日目を押さえ先行策で押し切り、十八番のカマシに持ち込まなくても力のあるところを見せた。
「(別線を)押さえることが重要なファクターっていうことがある。それができないと思われたらマイナスなんで。カマシはとっておけばいいし、あとは突っ張りをやって先行のバリエーションを増やしていきたい」山中秀は今こそ課題克服へ
5月のダービーで2勝をマークした山中秀は、「いまが選手生活のなかで一番」と、充実期を迎えている。それだけに1544着に納得することなく、さらなる高みを見据える。
「得意なパターンで1着を取るだけじゃなくて、苦手なパターンでいかに3着以内に入るか。もうちょっと工夫していきたい」
同地区の若い機動型にばかりスポットライトが当たるが、池田勇も確実に復調ムード。玄人好みの走りでラインに貢献した。
「セッティングにしろ、乗り方にしろまとまってきたんで、手応え的なものはある。体が自然と前々に反応しているんで感じはいい」
2日間後方に置かれて見せ場のなかった深谷知は二次予選敗退も、3日目以降は積極策で存在感を示した。
「(末の粘りが)まだまだですね。乗り方も変えているので。(競技用の自転車を乗っていて感覚のズレは)多少あると思いますけど、やるからには一戦、一戦集中して」深谷知の助言で甦った近藤龍
自身は復調途上の深谷だが、シンプルなアドバイスで近藤龍の変わり身をアシストした。
「深谷さんにタツの足首の角度はこうじゃなかったって言われて、それで変えたら見違えるようになった。半年間もたついて(前が)抜けなかったけど、これならお客さんにワクワク感をもってもらえる。やっと戦える」
鎖骨、ろっ骨の骨折に見舞われ2カ月以上の戦線離脱を余儀なくされていた村上義は、復帰2場所目の全プロ記念初日に落車。再びろっ骨の骨折の怪我と逆風が吹き荒れるなか、復帰場所で決勝にこぎつけた。
「この舞台(決勝)に立てて、まずは自分の課した課題のひとつをクリアできた。決勝は(外に浮いてたんで)立て直して、新田君を動かしてっていう形があるのかと思ってたら。その前に稲垣が前に行った。それで連結を外さないように(稲垣を追いかけて)だいぶ脚を使った。いまの僕では無理でした」
現状では及第点も、村上には時間が必要だ。