ピックアップ GⅡ 伊東 09/18
決勝は単騎の5人に対して、九州勢4人のラインができあがった。ともに無傷の3連勝で勝ち上がった脇本雄太、新田祐大の来年の東京五輪代表2人が単騎ながらも人気を分けた。競輪の永遠のテーマでもある、圧倒的な個の力に対して、ラインの結束力でどう立ち向かうのかという意味でも注目されたレースだった。番手まくりに出た山田英明(押し上げによる失格)が、あのまま前に踏んでいたら…。その答えは出ないが、9車立てだからこそ脇本の巻き返しも困難にもなり、勝負のアヤも生まれる。10月からの記念は9車立てに戻るものの、プレミア感のあったビッグ開催は7月のサマーナイトフェスティバル、8月のオールスター、そして今回の共同通信社杯と売り上げも好調。今シリーズは、目標額の62億円を大幅に上回る76億円超を売り上げた。
「やっぱり9車の競輪は楽しいし、見てる人にも楽しんでもらいたい」
二次予選敗退が悔やまれる浅井康太は、シリーズを3勝。3日目は寺崎浩平とタッグを組んでワンツー。自力の最終日は松井宏祐、清水裕友、吉田拓矢らの若い力をまくりで粉砕した。プロ選手として魅せるレースを意識しながら、結果も追求する。
「(3日目の寺崎との連係は)久しぶりに競輪を楽しめた。いろいろ考えさせられることもあるし、自分、自分になってたら良くないですね。自分の体としっかりと向き合ってコンディショニングができているし、感触もいい。ここからもひとつ、ひとつ積み重ねていきたい」
常にラインでの決着を意識している脇本雄太だが、結果的には決勝で近畿勢は脇本1人。脚力が抜けているが故、その包囲網も厳しさを増しラインでの勝ち上がりはより困難に。結果を求められる立場でもあるため、もちろん、脇本を責めることはできない。
「(九州勢が前で自分が9番手の)この並びになった時点で、誰も動かないと思いました。前の方にいて内に詰まる展開だけは避けたかったので、9番手から勝負をしようと思ったんですけど。結果的にそれが失敗でした。純粋に九州ラインが強かった。自分だけのレースをして勝ち上がると、こういう風になるってよくわかりました。自分もですけどお互いに頑張って結束していかないとですね」
シリーズを着の稲毛健太は、2日目から3走連続で先行策。成績以上に存在感をアピールして、伊東同様の短走路、次回の前橋での寬仁親王牌(10月15日から)を見据える。
「次も33バンクの親王牌ですからね。先行してリズムをつかめたら、生きてくるんじゃないかと。それで積極的ににいって負けたら仕方ないですね」
追い込みながらも7車立ての記念、F1でも成績を残している東口善朋は、今シリーズ1勝2着1回。さらなるスピード化の進む輪界の流れに遅れことなく、競走得点も高いレベルでキープしている。
「(最終日は連係した浅井康太を)交わせるのがベストですけど、まずはスピードに負けて遅れないように。自分は歳を重ねていくし、スピードはどんどん上がっていく。歳やからっていっても条件は一緒ですから。うまく体を変化させて、(自力選手に)しっかりと付いていかないと」