ピックアップ GⅠ 弥彦 10/21
平原康多の一瞬の判断が北日本ラインの崩壊を招き、新田祐大のグランドスラムの夢を砕いた。09年の初戴冠から順調にタイトルを重ねてきた平原にとっては、4年半以上ぶりといままでで一番長い月日が流れた久々のG1制覇。“究極のオールラウンダー”とうたわれながらも、落車禍に悩まされていただけに、「またここに戻ってこられて幸せですね」と、V会見で振り返った。目じりのしわが若干、増えた感はあるものの、来年は不惑を迎える平原の変わらない笑顔は印象的だった。
「3番手が取れて、あとはどれだけ仕掛けていけるか。せめて新田さんに番手まくりだけはさせないとっていうのがあった。平原さんのため、ラインのために」と、決勝を振り返ったのは吉田拓矢。高松宮記念杯の準Vに次いで、今年2度目となるG1ファイナルで平原の優勝に大きく貢献した。高松宮記念杯では宿口陽一と、続けて後位の選手がタイトルを奪取したことは、吉田にとっても大きな自信になったことだろう。
「僕が前の時に平原さんになかなか勝ってもらえなかった。レースは不格好だけど、勝ってもらえたんで良かったです。自分も常に獲るという気持ちで走らないと、タイトルは獲れないと思う。そういう気持ちをなくさないように」
現在、獲得賞金ランク10位(10月25日現在)。今年最後のG1、競輪祭では優勝がなくても初のグランプリ出場に手が届く。
初日の理事長杯、最終日で2勝の郡司浩平だが、ともに深谷知広の先行を利して、絶好の展開をモノにしての勝ち星。2日目ローズカップ、3日目準決はラインの先頭を担いながらも、和田健太郎と共倒れ。存在感を出すことができなかった。
「(最終日に深谷と)こういうところでワンツーができたのは、次につながる。今回は真ん中の2日間(2、3日目)で、自力でしたけど勝とうが、負けようが、自力を見せたかった。でも、なにも残らないレースでした。(南関を)引っ張っていかないといけないし、勝ち上がりを逃して南関の士気を下げてしまった。今年はあと、四日市と競輪祭を走ってグランプリを迎えるんですけど、残り少ないレースで悔いのないようにしたい」
8月オールスターに続く連続G1制覇の期待もかかっていた古性優作だったが、「(自分のデキは)G1を戦うには物足りないんですけど」と、ローズカップに向けた共同会見でも、自身が痛感していた。準決では僅差の4着とあと一押しが足りず、最終日に勝ち星を挙げたが、現状の課題をあげた。
「(最終日も)感触的には重くて、乗り越えていっぱい、いっぱいだった。ちょっと思うところがあるんですよね。村上(義弘)さんにも相談させていただいたんで、やりたい練習もある。原点に戻って。競輪祭までに仕上げたい」
前回の熊本記念in久留米でG3初優出で弾みをつけた谷口遼平は、一次予選でG1初勝利。着と4度目のG1で手応えを得た。
「弟子をもたせてもらったんで、毎回しっかり練習をしています。練習量が増えました。師匠になった以上、いままで以上に頑張っていかないと。連日、厳しいメンバーのなかで、それなりに勝負できたんじゃないかと。初めての寬仁親王牌(15年)が8、8、8、9着だったんで、少しは成長できたかなと思ってます」