ピックアップ FⅡ 佐世保 05/28
全プロ記念競輪後に予定されていた本来のメインであるはずの全日本プロ選手権自転車競技大会は、残念ながら2年連続で中止を余儀なくされた。それでも2日間の短期決戦に、S班9人がそろい踏み。トップ選手たちは次なるターゲット、6月16日からの高松宮記念杯(G1)を見据えた。
荒井崇博は、5月のダービーで13年の高松宮記念杯以来のG1ファイナルに進出。今シリーズは欠場した盟友、井上昌己に代わって奮闘して、「スーパープロピストレーサー賞」でもあわやのシーンをつくった。現在は獲得賞金ランク13位(5月30日現在)。「(獲得賞金ランクとか)意識してない。特別(G1)の決勝に乗らなきゃと思っているし、それだけを考えてやっている」と言うように、まだ賞金の話をする段階ではないが、グランプリ出場圏内の団子状態のなかに身を置いている。
「(最終日は)チャンスはあったね。(最後の踏むコースは)待って中だったかもしれない。外を回しても突き抜けられるように練習します。ちょっと自分の脚を過信したのと、コース取りのミス。外でも届くと思っていたんだけど。ただ戦えるね、このクラスでも。高松宮記念杯が楽しみやね」
九州を支えタイトルも時間の問題と言われたころから十数年の歳月が流れたが、荒井がまたグランプリ出場を狙えるところまできている。
46歳。桑原大志は、今がターニングポイント。清水裕友、松浦悠士、同地区のS班の後輩を見守りながら、自身も強い思いで彼らに食らいつく覚悟だ。
「ずっと苦しい状態が続いている。けど、もう1回頑張ればたくさんG1にも出られるし活躍もできる。ここで腐ればG1にも出られることもなくなる。分かれ道だと思ってやっている。日本一を狙っている清水、松浦が近くにいる。周りにヤル気のない人が集まってきたら、ここは日本一を目指しているところだって言ってあげるのも自分の役目だと」
3月ウィナーズカップでの落車で鎖骨骨折の怪我を負った上田尭弥は、復帰場所となったダービーが着。続く函館記念では追い込みで1勝をマークしたが、本来の動きになかった。復帰3場所目の今シリーズが見違える動きで、2日間ともに先行策から着。
「(今回から)自転車を戻して、こっちの方がいい感じでした。新車なんですけど、去年の一番調子が良かったフレームと同じ寸法です。徐々に(調子も)戻ってきている。(3月のウィナーズカップで)鎖骨を粉砕骨折して、それが来る前に骨が完治していたんでホッとした。やっと(骨が)つながって、それまでは思い切ったレースができなかった。(怪我で)気持ち的にもだいぶ強くなった。今開催は今年に入って一番いい走りができた」
隅田洋介は、最終日に目の覚めるようなまくりを披露。近況は競走得点も高いところで維持しているが、G1初舞台となる次の高松宮記念杯に向けて満足することはない。
「上を目指していかないと頭打ちになってしまう。昨日(初日)はまくり切れてないし、一撃を強めるのと(踏める)距離も伸ばしていきたい。練習では(長い距離を踏むのが)できてるんですけど、競走になると体が反応していかない。やっぱり実戦でやっていかないと。(高松宮記念杯はG1)初なんでチャレンジャーのつもり。メンタルをしっかりと仕上げていきたい」