ピックアップ GⅢ 豊橋 01/26
極寒、強風、雪。そんなコンディションの中でも、脇本雄太の強さはなんら変わらなかった。決勝戦では、別線は金縛りにあったかのように動けず終了。脇本に後手を踏ませることすらも出来ずに勝負が決してしまった。「最低でも7対2にしないと勝てない」。こう話す選手も多い。脇本がどこまで勝ち続けるかも楽しみだが、ライバル達がどんな手段で対抗していくかも見ものだ。
齋木翔多はシリーズを通して積極的に攻めた。最終日は、他地区ながら守澤太志に任されたが、これまでにない別線による包囲網を受けて出切れなかった。今後、活躍のステージを上げていけば、同地区のS班に任される場面もあるだろう。その時に、この日負けた経験が必ず武器になる。
「藤井さんが行って、流れの中で仕掛けたかったけど、藤井さんが一旦止まったのできつくなってしまった。藤井さんに気付かれる前にその上を叩きたかったけど、気付かれますよね。叩かないとって気持ちが強過ぎて、その後のリカバリーが出来なかった。3日間良いレースが出来ていたのに、4日目が駄目でした。やっぱり緊張感はありました。それで周りも全然見えてなかったですね。警戒されて、前を取らされることもあるし、それで展開が良くならない時もある。そういう時にまくりでもリカバリーできるようにならないと。守澤さんを特選で負けさせてしまった責任を感じるけど、これを経験にしていきたい」
地元ホームの岡本総は、昨年の当大会で決勝に進出。今年は前検日から気迫が違ったが、準決勝で落車の憂き目にあった。ケガを押して走って最終日は、守澤太志に伸び勝って1着。シリーズを白星で締めて次につなげた。
「最後は伸び負けたと思ってたけど、(決定)放送を聞いて自分が1着だったんだって分かった。気持ちで勝ちましたね。4日間気持ちを入れて走れた。地元の意地を見せられましたね。3日目の落車もあったけど、それを乗り越えて1着で終われたのは嬉しい。痛みはあるけど少しだけ。なんていうか、気持ちが入ってるからまだ痛みが来てないのかも。帰ったらめっちゃ痛くなったらどうしよう(笑)。自分なりには4日間全力で走れたと思います」
脇本以外にも、バンクコンディションをものともしない男がいた。野口裕史は、4日間突っ張り先行。誰よりもキツい競走をやり抜いた上で「良い練習になった」とサラリと言ってのける。パワーと、気持ちの強さが野口の強みだ。
「競りなので後ろが見えなかった。赤板目掛けて踏んだけど、やっぱり出られそうになっちゃいましたね。でも、山田(諒)君が踏みやめて、一瞬みんなフワッてなったのが分かった。そこで後ろが集結するのを待ってから踏みました。昨日(3日目)が、焦って踏んじゃったところがあったので、そこを反省して今日は落ち着いて駆けようと思って。もう、それでまくられたらしょうがないって気持ちで、吹っ切れて走れましたね。この4日間で、もっと重いバンクでも大丈夫になりました」
豊橋バンク初登場だった志田龍星は、シリーズ未勝利。それでも、準決勝でまくったスピードは光った。それに、シリーズ中に浅井康太と2度連係。大きな経験値を手に入れて、成長への糧にする。
「スタートで前が取れなくて、どうしようかと思ってたけど体が勝手に反応してくれた。意外と落ち着いてて、浅井さんが後ろだから行かないといけないってそれだけでした。記念は詰まった1個目のところで行かないといけないので。浅井さんにもアドバイスを頂いたけど、前に村上博幸さんとも喋る機会があって、その時にも同じようなことを言われた。もう1個、2個、パワーが足りない。ワット系の練習とか、ウエイトもやってるんですけどなかなか…。パワーがないから、ギアを踏むのが苦手なんですよね」