ピックアップ GⅢ 奈良 02/02
当初は昨年末のグランプリから和歌山記念、豊橋記念と続く“お決まり”の脇本雄太、古性優作のシリーズかに思われたが、初日特選のあとに脇本が腰痛の悪化により戦線を離脱。2日目には古性の失格、さらに平原康多が落車に見舞われて欠場を余儀なさくれた。5人いたS班がシリーズ後半には2人。このあとに全日本選抜を控えているS班にとっては、受難のシリーズになった。
そして新田祐大までもかと肝を冷やした準決では、嘉永泰斗との接触で外の金網スレスレまでバランスを崩したところから、最後方からの大まくりで1着。「あれは二度とないでしょうね。ただ、走れる状態であった以上、最後まであきらめないのが自分のスタイルですから」と、S班の責任感と驚異のパフォーマンスで優出につなげた。三谷竜生とのバトルは、十分に見ごたえがあった決勝。新田、そしてシビアに組まれた番組を勝ち抜いた佐藤慎太郎のS班2人がいたからこそ、V争いはおもしろかった。
2着の東龍之介は、一次予選で北井佑季とワンツーを結実させると、2日目以降は松井宏佑と三度の連係。最終日は松井の踏み出しに遅れながらも食らいついて、別線のまくりをブロック。松井との上位独占を果たしたが、到底、東の納得できる内容ではなかった。
「(最終日は松井が)うまく反応してくれたっていうか、間髪を入れずにいってくれた。自分はとてつもなくキツくて、ずっと追っていました。(酒井拳蔵のまくりを振ったのは)もう本能ですね。(あきらめて)やめるのは簡単ですけど、迷惑を掛けないようにと思ってました。今開催は番組に恵まれて同県の先行選手とだった。自分の脚だけではなく、現状のいろいろなところを知ることができた。(北井、松井のほかにもS班の郡司浩平らがいて)チャンスだと思う。だけど、自分はそこのレベルにまで行きついていないところが多々ある。練習での積み重ねで、少しずつでも前進していきたい」
取鳥雄吾は、シリーズ3勝をマーク。前受けから別線に一度も先頭を譲ることなく逃げ切った最終日は圧巻の内容。次のビッグは、3月のウィナーズカップになるが、先を見据えてこう振り返った。
「昨日(準決)は皿屋(豊)さんを入れるかどうかとか、自分の詰めの甘さが出た。(上位のレベルだと)先行だけじゃなくて、違う戦いもしなきゃいけないので、そういうところが大事になってくる。(自転車とのマッチングも)徐々に日に日に良くなっていった。体の方はトレーニングのおかげなのか、いい感じになってきた。ただ、G1だともう少しスピードがないと苦しいですね。今日(最終日)も、あれだとまくられてしまってたと思う」
二次予選で古性優作とタッグを組んだ三谷将太は、勝負どころでわずかな隙を突かれ、阿部拓真に張られて古性マークを外す痛恨の内容。その2日目が影響したのか、3日目には長い話し合いの末に南潤、山本伸一とは別線。2日目の落車のダメージがありながらも、執念で勝ち星をもぎ取った。
「(3日目は自分が単騎で)ラインが3車にならなくて、(南)潤が消極的になったのは自分のせいですね。もっと自分が力をつけていかないと。昨日(2日目)自分の力不足で阿部君にさばかれて、位置を主張できない走りをしてしまった。(落車の影響は)見てもらった通りスタートで遅れてしまっている。ただ、ファンのみなさんの声援が力になって、追い風に乗せてもらった」
今期初S級の古賀勝大は、前回の地元、和歌山に続いて2度目の記念。2日目にまくりでS級初勝利を挙げたが、自転車経験ないなかで輪界入りを決意した古賀にとってはまだ課題は多い。
「(S級初勝利を)取り切れたんで良かった。(番手を回ったりもしたが)壁にぶち当たるまではしっかり(自力で)やっていきたい。S級はA級とペースが違うので、ハイペースに慣れていかないと。(今期はここまでS級で)戦えているっていうより、無理やりでも戦っていかないと。自転車経験がない状態でここまで来ているんで、いろんな先輩に聞きいてやっていきたい」