ピックアップ GⅠ 平塚 05/02
準決で異次元のラップを刻んだ脇本雄太に当然ながら人気が集中した決勝。打鐘で大きく空いた車間は最終ホームでも詰まることはなく、雨と風が舞うバンクコンディションが影響したのもあるだろうが、8番手から見せ場なく脇本は7着に終わった。「雨というよりも犬伏(湧也)君も強い。最終的には準決で(犬伏を)勝ち上がらせてしまった僕のミスですね」と、中四国2段駆けラインの足がかりになった準決を強調して脇本が肩を落とした。付け入る隙すらないように思われた脇本、古性優作のコンビに、中四国勢が猛抵抗。そこに生まれたワンチャンスを逃さなかった山口拳矢が初戴冠。G1初ファイナルながらも、舞い上がることない冷静な判断力とレースセンスは天性のもの。並外れた勝負強さは、グランプリを2度制覇した父(山口幸二)譲り、いやそれ以上かもしれない。
シリーズを着の高橋晋也は、一次予選ではラインの永澤剛、大槻寛徳がともに失格、2走目は後ろの山崎芳仁が1位入線もまさかの失格。「昨日(一次予選)からみんな失格して、かばってもらうのはうれしいけど申し訳ないですね」。成績とは裏腹にトーンは上がらなかったが、最終日の5月7日に第二子が誕生。“パパ”がシリーズを勝利で締めて、息子のバースデーを祝った。
「(第二子が生まれた最終日の)今日は負けられなかった。脚が三角に回ってましたけど、最後は意地でした。一次予選は3着権利っていうのを意識して、気持ちが弱くて小さいレースをしたけど、感触はすごく良くなっている。師匠(飯野祐太)と山崎(芳仁)さんに相談して、セッティングを(2場所前の)平から戻した。それで良くなりました」
シリーズ2勝の谷口遼平は、通算9度目のG1で初めての複数勝利をマーク。町田太我のまくりに合わせて踏んで、小松崎大地をまくった3走目のように、自信に裏付けされた立ち回りと仕掛けが目を引いた。
「(3走目では、カマした小松崎大地の)番手で粘れそうな雰囲気だったけど、粘ってしまうと小松崎さんが駆けずに町田君が来ちゃうかなと。3番手を確保して、見ながらかぶる前に(仕掛けて)と。小松崎さんが強いので、踏んだ状態から追いげまくりみたいになった。落ち着いてレースを見ながら走れている。余裕を持って走れているので、1回踏んでもまだなんとかなりますね」
S班で特選スタートだった新田祐大だが、二次予選で早くも敗退。勝ち上がりの2走では精彩を欠いたが、後半の2走は着とまずまずの動き。それだけに前半が気になった。
「(今シリーズは)1、2走目があまりにも消極的なレースをしてしまったので、決勝に進む道を(自分自身で)閉ざしてしまった。そこは反省点なので、今後のレースで修正していきたい。1走目の感覚は良かったので、2走目は普通に仕掛けていれば…。マイナスのことを考えてしまう時に悪い動きになってしまう。(次の函館記念は)戦う気持ちをいつもよりも、もっと強くもって走りたい」
昨年12月にレインボーカップファイナルでS級にカムバックしたものの、7月から5カ月以上はA級ライフを味わった佐々木龍。獲得賞金での選考に大きく影響はしたが、地元で初めてのダービー出場を果たした。
「地元の平塚の日本選手権だったんで、A級に落ちた時は厳しいかなと思った。それでもあきらめずに走って、なんとか出られました。初めての日本選手権だったので気持ちを入れた。(前回の取手2日目の落車は)大きな怪我ではなかった。あとは挑戦者として挑むだけだった。(最終日まで走って感じたのは)まだ課題はたくさんあるんで、日々の積み重ねだと思う。目標と目的をもってやっていきたい」