ピックアップ GⅢ 名古屋 07/27
真夏の高速バンクで、面白いほど好タイムが連発した。決勝の山口拳矢の上がりタイムは10秒9と、外併走から無理やり仕掛けて10秒台を叩き出した。10秒6のまくりで制した初日特選もさることながら、スピード競輪の申し子の真骨頂が垣間見えた。
藤井侑吾は、新田祐大に力負けを喫した二次予選こそ大敗したが、それ以外は全てバックを取り、連勝でシリーズを締めた。スピード地脚を生かしたケレン味のない先行策こそが藤井の持ち味。細かいことは、もう考えない。
「今日(最終日)はバンクも軽くて良い感じに駆けられましたね。いつもは脚を使って変なペースで駆けちゃうんで。この前の大垣記念もそうだったけど、3日目と、4日目は良い競走ができる。しっかり勝ち上がらないとだめですね。点数上位の人と当たったりすると、ひよっちゃう部分がある。どうやれば苦しめられるだろうとか、いろいろ考えてしまう。黙ってそのまま行けばいいだけなんですけどね。次は豊橋記念に向けてですね。名古屋がバンク改修で使えなくなるので、街道とウエイトがメインになると思う。週一くらいで豊橋バンクで練習させてもらう予定です」
今節最も変わり身を果たしたのは小川丈太だろう。初日は野口裕史をまくって1着。3日目は青野将大や、橋本優己を相手に意表を突くカマシで押し切ってシリーズ2勝目を挙げた。1月和歌山記念以来の9車立てを、生き生きと走る姿が印象的だった。
「ずっと練習の調子は良かったんで、どこかでそれが出てくれればって思ってたんですよね。記念のあっせんが無かったわけじゃないんですけど、ちょうど体調を崩したりしてなかなか走れなかった。もともと9車の方が好きです。7車は力だけで決まっちゃうんで、流れのある9車の方が自分には向いている。次の9車は向日町記念が入ってます。そこでも頑張れるようにしたいですね」
中本匠栄は連日修正に余念がなかったが、最終的にはフレームチェンジを決断。九州の層の厚さを肌で感じながらも、自身も置いてかれまいと試行錯誤を繰り返している。
「初日に悪い状態から入って、少しずつ感覚を戻していく4日間でした。フレームも戻そうと思ってます。初速は良いけど、伸びの部分があんまりだった。自分のイメージと客観的な見え方が違っちゃうと良くないので、フレームを戻して煮詰めていきたい。嘉永(泰斗)は本当に強い。今日(最終日)もどこまで行っても抜けないだろうなって感じだった。今の九州は嘉永と(山田)庸平の二枚看板で、(中川)誠一郎さんも復活してきてて、(伊藤)旭もレベルアップしてきていると思うんで」
度重なる落車が平原康多を襲っている。最も痛みの大きかった股関節は``グロインペイン症候群``と聞きなれない病名を診断された。「乗り方でごまかしているだけ」と自身の現状を冷静に分析する。
「左脚でカントを踏めている感覚がない。踏みごたえがないんで伸びていく感じがしないんですよ。今日(最終日)も良い時なら伸び切れている。でも、走ってみてそういう部分は見えてきているんで。踏んでいる感覚のズレがあるんで、ワンテンポか、半テンポぐらい踏み遅れている感覚がある。しっかりケアをして、感覚を意識しながら上積みしていかないと」