ピックアップ GⅢ 松山 08/08
新田祐大が完全優勝を決め、強さを誇示したシリーズ。オールスター出場組不在の開催ではあるが、人気を背負いながらしっかりと結果を出す姿は、競輪界のトップ選手として特別なオーラをまとっていた。一方で今回は吉田智哉、真鍋智寛の地元勢が初めてG3決勝に進出。勝ち上がりの3日間は気迫漲る走りを見せた。
吉田智哉は二次予選で新田祐大と対決。自力で真っ向勝負を挑み、会心のカマシを披露した。3着に粘って準決勝に進んだことは今後につながるだろう。決勝は四国ラインとして新田に経験値の差をみせつけられたが、今シリーズで得た経験はさらなる成長を期待させるもの。二次予選、準決勝をこう振り返った。
「(二次予選は)新田さんが一人で飛んでくるのは考えていました。フタをしてから行けたし、思い切って仕掛けられてよかったです。体と自転車がマッチしていますね。選手になって8年目なんですけど、(準決勝は)一番緊張しました。いい緊張感を持って過ごせていると思います」
真鍋智寛は今年3月の「金亀杯争覇戦」を当日欠場になってしまったため、今回が初めての地元G3出走。4走とも最終バックを取る積極策を見せた。「地元で緊張するけど勝ち上がって結果を残したい」と臨んだシリーズ。準決勝は「力を出して何もやることがないように」と気合いを入れて走った結果、G3で初の決勝切符を手にした。
「(準決勝は)いつもより余裕がなくて、出切るのに脚を使ってしまって。出切れるか心配でしたけど、最低限、誰かが決勝に乗れればと思っていました。日に日に良くなっているかなと思うし、決勝も力を出し切りたいですね」
門田凌は半年間A級の戦いを経て今期からS級に復帰。初日は2車単で一番人気に支持されるなど、ファンの期待は高かった。3走目はまくり不発になったものの、復調気配を感じさせるレースで、最終日は橋本凌汰の番手から好展開を生かして1着で締めた。
「今回は着ほど悪くなかったけど、結果を出さないと意味がないですからね。頑張っていかないと。昔、松山記念に出ていた頃の脚に早く戻していきたい。練習量が減っていた部分があるので、そこを増やしていくしかないです。でもちょっとずつは良くなっていますし、今日みたいに番手を回った時の余裕はあります」
木村佑来は2着。準決勝は菊池岳仁に警戒されて踏み合いの末に主導権を奪えずに敗退したが、シリーズでの動きは光った。北日本の大砲候補として今後も注目して欲しい存在。
「6月末の取手記念から堀江(省吾)さんにお借りししているフレームを使っているんですけど、体の感覚もいいので比例して調子は良くなっていますね。格上相手にも脚だけなら勝負できる手応えを今回はつかめたし、仕掛け所だけ見極められればもう少し上のクラスでもやれそうです」