ピックアップ GⅢ 青森 09/26
先頭の高橋晋也が突っ張って逃げて、新山響平が番手まくり。守澤太志が援護から迫って、地元支部の両者でゴール勝負…。そんな結末を思い描いていた地元勢の思惑は、眞杉匠の意地によって打ち砕かれた。勝負を妥協せずに、外から地元に競りにいった眞杉の運行は、実に男らしかった。チャンスを逃さずに記念初Vを飾った佐々木眞也はもちろん素晴らしかったが、眞杉の走りも、とてつもないものだった。
鈴木薫は、今節が4月の高知記念以来の9車立てだった。初日は圧巻のまくりで別線を仕留めると、最終日も鋭い一撃で磯田旭とワンツー。持ち前のスピードを、強烈に印象付けた。
「体自体は仕上がっていたし、あとは気持ちとタイミングの問題だと思います。レースの中の反応も課題だと思うんですけど、他のラインの動きの見極めだったり、展開の想定ができていない。(昨日)3日目も、他の叩き合いに期待し過ぎて、棒状にして駆けさせてしまったんで。そこの見極めですよね。仕上がりは良かったと思うし、久々に9車を走れて刺激になった。来月は地元の京王閣記念があるんで、そこに状態をさらに上げて、帰って師匠と反省会をしっかりやりたいです」
最終日に逃げ切り勝ちを収めた青柳靖起は、ワクワクした表情で会見場に現れた。セッティングを大幅に変えたことで、手応えが一変したようだ。
「3日目が終わって、眞杉(匠)さんにセッティングを見てもらったんです。岩谷(拓磨)さんが見てもらったらしくて、俺の自転車も見てもらったんです。2時間くらいずっと見てもらって、かなり大幅に変えました。サドルも、ハンドルも、ハンドルの送り幅も変えて。練習で乗って、いけそうな感じがしたんですけど、レースで走ってみたらすごく良かったです。この感覚は初めてですね。自分はどちらかというと、練習でもレースでもがむしゃらに踏んでいってっていう感じなんですけど、眞杉さんのセッティングはいかに力まず、力を使わずに自転車を進めるのかって言う感じで。自分も力まず乗ることを意識して走りました。終わったあとにレースのVTRを見ましたけど、(先行した)初日と違って最後までフォームも乱れていなかったですし、良かったですね。流しているわけじゃないんですけど、スピードを落とさないように回しているから、最後もタレなかったんだと思います。この乗り方なら、先行でも、まくりでもいけそうな気がします。このセッティングも、この感覚も、忘れないように、自分のものにしていきたいですね」
大矢崇弘は、6月奈良G3を制して競走得点を大幅に上げると、その後も好調をキープ。今節は自力で動いた初日こそ失敗したが、終わってみれば敗者戦を3連勝。最終日は、11秒フラットのまくりを見舞った。
「番手戦が増えて、人の後ろでも脚をためられるようになりました。最終ホームでも余裕があったり、前の状況を見られるようになってきましたね。調子自体は良くも悪くもなかったけど、脚が溜められるようになったことが大きいと思います。でも、まだ細かいところのミスはあるし、番手でも勉強しないといけない部分はあります。初日は自力でやってだめだったし、最終日も1着は取れたけど、内容としてはだめ。松岡(辰泰)君のところをしっかり切らないと。1着を取れてるのは良いけど、内容はよくなかったので、そこはちゃんと考えたいです」
阿部将大は、共同通信社杯を、前検日当日に欠場。マイコプラズマ肺炎を患い、走りたくても走れない状況だった。復帰戦の今節は、最終日に先行した2着が最高成績。このあとは地元G3連覇がかかる別府G3だけに、急ピッチで状態を戻さなければならない。
「まだ、3、4割の状態でしかなかったですね。最終日も、本来ならもっと楽に出られるはずし、最後もいっぱいいっぱいだった。道中の脚の残り具合が全然違っちゃって。練習を休んでたんで、やっぱり脚が落ちている。トップスピードも落ちちゃってる感じがして、もっとスピードを上げなきゃと思って必死で踏んで、最後は売り切れちゃう。このままの状態じゃだめですね。ちょっと今回は課題が多かったんで、一個一個クリアして、(別府G3は)なんとか。優勝できるようにって言ってるんで、なんとか仕上げていきたいです」