ピックアップ GⅢ 向日町 09/05
大規模な改修工事に入る向日町競輪場は、5年後の再開を目途に、一旦休止期間に入る。現行バンクでの最後の『平安賞』は、名勝負と呼ばれるに相応しい決勝戦で幕を閉じた。悔いのない競走を貫いた窓場千と、それに全身全霊で応えた脇本雄太。先行勝負に出た清水裕友の走りも、賞賛されるべきものだった。バンクの姿かたちは変わっても、先人たちが紡いできた『近畿の競輪』は変わらない。
緒方将樹は、仕掛けに迷いが消えて競走がスケールアップ。「若手中心に良い練習ができている」と、熊本バンクが再開して、気持ちの面でも乗ってきた。だが、二次予選は、労せずして中団を回ったが、北井佑季の先行を前にして一車も車が進まなかった。力の差を受け入れて、もう一度気持ちを入れ直した。
「自分の持ち味は、1周半から行って、ラインの全員で出切って、ラインを生かす競走だと思ってるし、そこで詰まったら行くっていうのは最近は心がけてます。行けば、番手の人も気持ちを入れてくれるし、最近はそれが噛み合っていました。ただ、やっぱり9車立ては違う。立ち遅れる場面が多かった。二次予選は、現実を突き付けられた。あれで確定板に乗れればいいけど、脚力が足りなかった。まだまだ挑戦ですね」
武藤龍生は、今節から使ったフレームがマッチ。タテの強化を求めて、同県の宿口陽一のフレームを使ったことが功を奏した。決勝は、脇本雄太の番手を初めて経験した。
「(脇本は)今までは、相手としてどうやって倒そうかって考えていた人で、いざ付いてみて初連係って所もありましたけど、力み過ぎて離れてしまった。そのあとは脇本さんを追いたかったけど、かなり外を踏んでいたし、そこは追っていけないと思って内だなと。コースを縫いながらって感じになりました。自分でも、よく3着まできたなと。フレームの特性だと思う。自分の思ったコースに入っていきやすい。ためも作れますし。この4日間、このフレームで走って収穫でした。この方向で煮詰めれば、このフレームの特性をよりいかせると思う。結果3着までこれていますけど、脇本さんに離れていますし、脚力ももうひと段階上げていかないと。今日(最終日)は、まだ脇本さんがまくりだったのであれですけど、カマシとかなら裸逃げになっていますし、そうなると自力選手との信頼関係にも関わってきますし、ラインとして崩壊してしまう。今回、脇本さんに付いて感じたことや、話したことを練習仲間でブラッシュアップしたい」
岡村潤は、準決勝で落車したが、最終日も走り切った。近況は、大崩れこそしていなかったが、今ひとつ物足りない成績。だが、最終日を走り切ったことで、手応えを感じた。
「(最終日を)走る理由が自分の中であった。もうちょっとでつかめそうな感覚が、今開催はずっとあったんですよね。(前回の)小田原とか、今回の前検の前の日から、いろんな情報が入ってきて、それをちょっとたしかめたかった。乗り方とか、体の使い方ですね。今回はずっと余裕があったし、踏み込んだ感じも良かったと思います。あたりがつきましたね。共同までは中3日しかないけど、もう少し煮詰めれば、ものにできそうな感じがします」
オールスターから大ブレイク中の窓場千加頼。決勝で自力勝負を選択したのも、精神的に成長した証なのだろう。悲願の地元Vには、あとは一歩届かなかった。だが、あと一歩で脇本を撃破していたのも事実。向日町競輪が再開する日を目指して、レベルアップを誓う。
「結果的にまくり切れたけど、オールスターの二の舞というか。でも、オールスターの時は、古性さんと1輪差。それが、今回は脇本さんと僅差だった。そこの差は詰められたと思うし、優勝するにはどうすればいいのか、自分なりに噛み砕いて練習したい。大喜びできる2着ではないし、良い経験はできたけど、やっぱり悔しい。新しくなった向日町競輪ができた時には、優勝できるように、頑張っていきたいです」