ピックアップ GⅢ 熊本 10/03
16年4月の熊本大地震の影響で約9年ぶりに開催された熊本記念は、4日間トータルで62億円超を売り上げる大盛況。熊本の底力を見せた。500バンクから400バンクへとリニューアルされ、初めての選手も多くクセのあるバンクに手を焼くシーンも見られた。最終日には松岡貴久、松本秀、瓜生崇智、中本匠栄と地元勢の4連勝に目の肥えた肥後のファンもおおいに沸いた。
久留米で行われた熊本記念からの連覇はならなかった中本匠栄だったが、シリーズを2勝。落車明けの今場所でまずまずの動きは見せたが、鈴木玄人に競り込まれたこともあり、準決は脇本雄太に付け切れず6着。それだけに自己ジャッジは厳しい。
「(落車明けのシリーズで)状態的には問題ないつもりで走っていたけど、昨日(準決)のこともあって、状態以前に脚力が足りてないですね。どんな展開でも食らいついていかないと。また一からやり直さないと。(落車から)1カ月空いたんでトレーニングはできたし、脚力的にも戦えると思っていた。けど、グランプリを獲る選手と走ったらやっぱり違いましたね。地元の声援はありがたかったです。このなかで優勝争いをできるようにならないと。現状を知ることができたっていう意味では良かった」
500バンクでの実戦経験がない松本秀之介にとっては、今シリーズが地元デビュー。重圧のなかでの4走はかけがえのない経験でもあっただろう。最終日は林慶次郎の頑張りを無にすることなく、番手まくりで勝ち切った。
「(最終日)付いてくれた四国の先輩2人と(林)慶次郎さんのおかげです。準決は初手のミスだったりもあった。脚の感じは悪くないけど、スピードもダッシュももっと上げていかないと、まだまだ足りてない。(初めて地元で記念を走って)1走、1走、ファンの方々の応援もすごかった。その分、勝つ喜びも負ける悔しさも大きかったですね」
初日から3日間、自身のスタイルで風を切った野口裕史は、「今日は自分の競輪ができないと思っていた」と、最終日を振り返った。それでも九州2段駆けを脅かすまくりで、シリーズ3連対目を遂げた。
「(3日間先行したけど前回の)岐阜よりは全然良かったです。ここに来る前の1週間で、その前の4場所で感じたこと。踏み方とか、もうちょっとこうなったらいいなっていうのを中心にやってきた。ワットバイクで朝の7時半から夜の8時過ぎまで12時間半、100本やった日もあった。陸上でハンマー投げをやっていた時にそういう(反復トレーニングみたいな)ものをやっていたんで、それを思い出してやってみた。80本くらいやったら、足がつっちゃいましたけどね(笑)」
前回のホーム四日市で優勝の谷口遼平は、二次予選敗退も後半の2日間はともに2着。3日目は先行策を見せて、次の寬仁親王牌につながる内容で今シリーズをムダにすることはなかった。
「(四日市から)中3日で回復しなかった。自分が考えていた以上に、体が疲れていました。ただ、成績が悪い時こそしっかりと駆けて、自力を出して気持ちで負けないように。だんだんと良くなっていった。初日のことを考えたら、マシな状態で(シリーズを)終われました。次が寬仁親王牌なんで、10日間くらいあると思うので、ちゃんと練習をします」