ピックアップ GⅢ 松阪 11/14
波乱続きのシリーズは、芦澤辰弘のG3初優勝で幕を閉じた。厳しいヨコのさばきは言うまでもなく、近年はスタートの早さでもラインに貢献してきた。その代償なのか、今節は開催中に腰痛を発症し、痛みを抱えたなかでの決勝戦だった。極限状態の芦澤を支えたのは、ラインの力。ラインのために身を粉にしてきた芦澤が、報われた瞬間だった。
初日の上田尭弥は、7番手で構えて不発。まさしく、「やらかした」レースだった。その後の3日間は、その失敗を取り戻すように先行にこだわった。前回の11月武雄F1で使った新車は失敗だったが、今節から戻したフレームにも上積みを実感できたようで、今回の失敗を無駄にしないことを誓った。
「初日に失敗して、頭のネジが飛んだっす(笑)。残りの3日間は、いくだけいこうと思えた。今日(最終日)は一番気持ちも入ってたし、収穫がありました。この気持ちをずっと持って走れれば、レベルアップできると思うんで。前回使ったフレームは、寸法も、材質も全部同じで作ったけどだめだった。戻したんで、こっちの方が良いですね。初日はサドルが低かったんで、2ミリだけ上げました。上積みもできたし、帰って合志(正臣)さんに怒られて、また練習します」
長らく低迷していた太田竜馬だが、近況は復調気配が漂う。レーススタイルにも変化が表れて、現状を打破しようと練習にも工夫を凝らしているようだ。悩める天才が、着々と復活への道を歩み出した。
「意識はだいぶ変わりましたね。練習の意識を変えた。練習の内容は正直なんでも良いと思ってるけど、レースをイメージしながら練習するようになった。練習でどれだけ強くても意味がないんで、レースにつながるように意識してやるようになった。レースも、何が何でも先行するっていう感じではないんですけど、まず先行基本に考えるようになった。生きて行くための、戦い方が固まってきました」
板垣昴は、初日の1着を含むシリーズ3連対。最終日特秀では、混戦をまくり上げてラインワンツーをメイクした。9月に北海道に移籍してから、練習環境も整ったようで、練習の成果が成績に表れてきている。
「(最終日は)前が取れるとは思ってなくて、とりあえず一個突っ張ろうと思って、赤板で踏んだ。そこで脚を使ったけど、ライン3車だったし、少しでも早く仕掛けたかった。特秀を走ったのも初めてだったし、2着は嬉しいですね。練習が街道メインになって、スピードはそんなに変わらないんですけど、脚がたまるようになった。脚を使ってからでも、動けていますね。もっと長い距離を踏めるようになれば、成績ももっと変わってくると思うし、バック数も増やしていきたいですね」
今年は、F1戦で連続Vを達成するなど、ブレイクの兆しを見せていた久田裕也だったが、9月小田原F1の落車が尾を引いて、勢いを失ってしまっていた。それが、今節は一変。本来の豪快な仕掛けを取り戻した。
「セッティングを変えたら一気に変わりました。前検日に、急遽変えたんです。今まではハンドルを低くして、かなり前の方で乗るようにしていました。それのせいで、かなり視野が狭くなってたんですよね。ハンドルを高くして、前をしっかり見れるようにしたらすごい走りやすかったです。落車で、指を痛めたんですけど、それはもう治ってた。自転車は壊れたんで、練習用のフレームなんですけど、いつも使っているものなんで、違和感とかはなかったんですよ。不安なところはないから、成績を上げたいと思ってたし、今節は良かったです」