ピックアップ GⅢ 玉野 12/12
今年も玉野競輪場で代替開催された広島記念だが、地元には人一倍思い入れを持つ松浦悠士が期待に応えてV。もちろん、注目は優勝争いだけではなかった。一年の終わりでもあり、新年も見据えて各選手それぞれの思いを持って走った。
「点数を上げないといけないんです」。筒井裕哉は期末によくある勝負駆け中の選手のひとりで、2日目から補充で参戦2日目は4着に終わったものの、見事に3日目、4日目と連勝でシリーズを締めくくった。
「でもまだもうちょっと足りない」。来々期のS級点確保にはわずかに点数が足りていない様子で、欲は尽きない。「前々回からクランクを換えて良くなりました。ちょっと前なんですけど、そのときはクランクをかなりやわらかくしたら全然ダメで、今回はそれよりもちょっと硬くして。しっくりきてますね。前までは追走でいっぱいだったのに、余裕がちゃいますね。自分で言うのもなんですけど、自転車が出てますわ(笑)。次の西武園も頑張らんと。最低でも3日間で100点平均は必要だと思うんで」。
クリスマスシリーズの西武園F1で今年最後となりそうな勝負駆けに出る筒井の走りに注目したい。
今シリーズの太田竜馬は準決勝で敗退を喫してしまったが、連日の走りには目を引くものがあった。最終日は展開上、まくりになってしまったが、2周モガく覚悟を持って臨んでいた。
「本当は一発で勝負するのが好きなんですけど」。自慢のスピードを生かしたカマシ、まくりを得意としているスプリンターだが、近況の連対時の決まり手は逃げ55%、まくり36%と攻めの意識がレースに表れている。
「いまは基本先行でって考えていて、それがダメなら次のパターンでって。(最終日は正攻法の構えから)誰がきても突っ張って感じで。またすぐ齋木(翔多)君がきたので出させましたけど、次も行かれてヤバいと思った。なんとかまくり切れて良かったです。長い距離を行くのは得意じゃないんですけど、この(先行の)方がラインが生かせるんで。こっちのほうが“競輪”がしやすいんで」。
今年のG1は2つの出場に留まったが、過去にはヤンググランプリを制した実績もあり、ビッグレースの決勝にも何度も勝ち上がっている実力者。“競輪”力を高めて再び大舞台での活躍を目指す。
「目標とかはとくに考えてはいないんですけど、自分の目指しているところには近づいていけるようにしたいっすね。(今節は太田海也が二次予選、準決勝と2周駆けを披露していたが)それの弱い版くらいになれれば(笑)」
「今年の集大成だと思って頑張ります」と意気込んで今シリーズに臨んだ大川龍二。地元記念8度目の挑戦で「今年こそは決勝に乗れるように」と力を振り絞ったが準決勝で敗退を余儀なくされた。それでも最終日も気持ちを切らすことなく戦い抜き、白星でシリーズを締めくくった。
「昨日(準決勝で)負けて悔しい想いはもちろんありましたけど。自分が思っていたよりもまだまだ甘かったですね。せっかくチャンスをもらったのに、それを生かしきれない器の小ささも感じました。でもチャンスがある限りは頑張りたい。(現在選考期間中の)ウィナーズカップまだ出たことがないですし、この1勝で今期14勝。頑張れば特選に乗れるかもしれないので。まだまだやったことがないことはいっぱいあるんで。そういうのをもっと経験していって。来年また(地元記念を走れる)チャンスがもらえれば頑張りたい」
去年、今年と舞台は玉野競輪場であったが、来年の広島記念はリニューアルした広島バンクで行われる。生まれ変わった地元バンクで、大川は今年よりも成長した姿を見せようと必死に爪を研ぐ。
福永大智はまさかの二次予選敗退を喫したが、最終日を白星で締めてシリーズを通して3度の確定板入り。それでも結果にもレース内容にも満足してはいない。スタートダッシュに定評があり、正攻法からの組み立てを得意としているがさらなる高みを目指して変化を求めている。
「前は取ろうと思えば確実に取れるんで。前からじゃなかったときの組み立てがまだまだ甘い。その辺も考えていかないと。いろんなレースをしていかないとって思っています」
7車立てなら話は別として、グレードレースは9車立て。前以外からの組み立ても考えていかないと目指すべきG1戦線での活躍は難しいとわかってきた。今年の全日本選抜競輪で始めてG1レースに参戦し、競輪祭以外の5つのGiでもまれてきた。
「今年1年はG1にも出られるようになりましたけど、今年4回の落車がすべてG1。経験も積めましたけど、そこの結果もふまえて考えていかないと。今年は落車で調子がずっと低いままきてしまったので、修正力を上げて脚力もつけて、来年はG1でも活躍できるようにもっと頑張っていきたい」