ピックアップ GⅢ 広島 12/20
約3年の大幅な施設改修期間を経てリニューアルした広島競輪場。バンクは緑色から「宇品ブルー」という地元の地名も入った鮮やかな青色に生まれ変わった。優勝した松浦悠士が「自分だけではなく、広島の誰かが、優勝できれば思っていた」と話したとおり、地元の選手たちは、今回の開催に向けて並々ならぬ思いで臨んでいたのが印象的だった。決勝2着の町田太我は悔しい表情を見せ、地元記念初優参の大川龍二は若手の台頭もあり、「一生に一回かもしれない」という思いを抱え決勝に臨み、シリーズを通して見せ場を作れなかった黒瀬浩太郎に至っては、「仮にこのあとのヤンググランプリに勝っても今回の悔しさは晴れない」というほどの気持ちでシリーズに挑んでいた。
新山響平
25年最後の記念開催には、いったんはS級S班の赤いパンツを脱ぐことになった松浦、清水裕、犬伏湧、新山響の4名や、ナショナルチームの太田海也、中石湊など、豪華メンバーが大会を盛り上げ、売上は目標の63億円を大きく上回る69億7931万7100円。新しいスタートは大成功で幕を閉じた。
平野想真
最終日11レースに行われたレインボーカップA級ファイナルは平野想真が制した。来期のS級2班は決まっていたが、「ここで優勝して特進の方がモチベーションも上がると思う」と戦前から話しており、A級屈指のメンバーがそろったレースでも力を誇示した。これからのS級での戦いも楽しみな選手であり、中部地区からすれば、大型の自力選手として期待を抱くだろう。
「九州と近畿が3車で自力選手も強かったので、やり合ってくれればそこからかなと。思ったより早く詰まったのでバック線ぐらいからまくりに行きました。(中井俊亮は)強いので、そこは意識していたけど、乗り越えられて自信になった。S級ではまずは先行でどこまで戦えるか。それでダメだったら考えて練習の繰り返しですね。自力でS級にいけるかもわからなかったし、自分はデビューも遅れているなかで3年目のこのタイミングでS級にいけるのはびっくり。(中部の自力選手として)プレッシャーはあるけど、誰かがやらないといけないし、僕が先頭に立ってがんばりたい。これから出てくる若い子にその姿を見てもらって続いていってほしい」
22年のグランプリ初出場から3年連続でS級S班として責任ある立場を務めてきた新山響平。今節は着の成績で、突っ張り先行に出た2走は連対した。来年からは1班での戦いになるが、当然のことながら、S班への返り咲きを狙っている。「S班は守ってきたという感じになってきたので来年からは攻めたい」という新山のレースに注目していきたい。
「(S級S班の3年間は)責任を持ってやれていたと思います。でも昨日(準決勝)みたいなレースを無くしていかないとダメですし、上で戦っている人たちは、メンタル、作戦など、そういうところをしっかりやっているのでもっと勉強していかないと勝てないと思います。来年は合宿とかをして普段から強い選手たちと一緒になって得られる物を得ていきたいです。また、S級1班から頑張りたい」
石原颯
石原颯は今シリーズ開始前まで郡司浩平と並んでS級トップタイの41勝を挙げていたが、今回は1着で2勝を挙げ、43勝まで勝利数を伸ばす。年末の寺内大吉記念杯F1の出走を残しているが、2年連続のS級最多勝利を決めた。今年一年の振り返りと、今後の目標についてこう語る。
「(今シリーズ通して)自分は、スタートが遅いので、みんなに任せているんですけど、それでも、突っ張り先行の練習がいかせた開催でした。準決勝で、新山さんに合わせて踏んだあとでも、残れるようになりたいですよ。それができたらとんでもないことですよね。(一年を通して)G1で準決までいけたり、特別優秀戦にも行けるぐらい充実しました。運も必要だけど決勝にも上がれるよう力をつけていきたいです。(来年の1月に地元の高松記念in小松島があるが)今は記念を獲りたいという気持ちよりもG1でしっかり戦いたいという気持ちが強いですね」
西田優大
西田優大はデビューした時には広島競輪場が改修中で、今シリーズは初めての地元出走になった。「声援がすごかった」というファンの声を力に変えて戦ったが、準決勝が4着で惜しくも決勝進出は逃した。今年は7月小松島記念でのS級初優勝や、G1初出場など「濃い1年」になった。これからも師匠の吉本哲郎グループで脚力を磨いて上位陣に挑戦し続ける。
「(初の地元記念は)いい形で締めくくることができなかったので、そこだけですね。力がない分、ラインとして走っていかないといけないので。今日(最終日)は競りで難しい競走でした。今後は出ていないG1、G2にも出られるようになっていきたいです。(今回感じたことは)脚が足りていないです。練習は吉本さんのグループのみんなでやっています。若手が多いのでみんなで頑張っていきたい」