中部勢が牙城を死守
中部勢が地元地区の牙城を守る。主軸を担うのは浅井康太だ。5月松阪記念はぎっくり腰で当日欠場したが、その後は同月の武雄、7月前橋で記念優勝。体をケアしながら高いパフォーマンスを各地で披露している。7月弥彦の寬仁親王牌は最終日に落車。怪我の影響は気になるところだが、タフな浅井なら心配ないだろう。輪界屈指のオールラウンダーとして、卓越したレースセンスとスピードを見せつける。中部勢は浅井のほかにも抜群の機動力を誇る吉田敏洋、当地記念4Vの実績がある地元の小嶋敬二が参戦。この3人が同乗したときの連係にも注目が集まる。
中部勢にとって最大の脅威となるのが脇本雄太、村上義弘の近畿勢だろう。脇本は高松宮記念杯、寬仁親王牌とG1で連続優出。7月の地元福井記念では大会連覇を達成した。先行日本一の評価を揺ぎないものにしている。村上は万全ではない状態のなかでも高いレベルで成績は安定している。魂の走りは健在。ここは連係実績豊富な脇本を巧みにリードして直線勝負に持ち込もう。レースさばき堅実な南修二がラインをしっかり固める。
北日本勢は渡邉一成がラインをけん引する。6月取手記念でV。寬仁親王牌では3年ぶりのG1優出を果たした。トップスピードの切れに一段と磨きがかかっている。得意の短走路で持ち味を存分に発揮しよう。和田圭は7月の函館、青森を連覇。青森の決勝は番手まくりの飯野祐をゴール前できっちり捕らえるなど差し脚が冴え渡っている。今のデキなら渡邉にも迫れそうだ。
関東勢は神山雄一郎をはじめ、稲村成浩、牛山貴広ら実力者が名を連ねる。神山は4月共同通信社杯で4年ぶりにビッグタイトルを獲得。競輪界のレジェンドとして、47歳でトップに君臨している。ここもベテランの技と力でV争いに加わる。稲村も安定した戦いぶり。目標をつかんだときのレースさばきと差し脚はしっかりしている。牛山は3カ月以上も決勝から遠ざかっている。悪い流れをそろそろ断ち切りたい。
南関勢は海老根恵太を軸に結束する。4月共同通信社杯で落車負傷した海老根だが、高松宮記念杯で復帰してからは順調にリズム回復。7月取手の決勝は豪快にまくって今年初優勝を飾った。完全復活の日は近い。海老根の前回り有力な近藤隆司は今、最も勢いのある選手のひとり。F1戦を中心に勝ち星を量産。G1初出場となった寬仁親王牌でも存在感を示した。まくりが主武器だが、最近は航続距離も伸びている。勢いそのままに今シリーズも突っ走る。勝瀬卓也は6月取手記念で決勝進出。高松宮記念杯は初日に落車したが、復帰戦の7月防府で準Vと好走。すぐに立て直した。目標充実の今シリーズは上位進出も可能だろう。
大塚健一郎も軽視できない。6月の地元別府記念は2度の落車で途中欠場したが、寬仁親王牌では2勝をマーク。鋭いキメ脚に陰りはない。不利な展開でも最後はコースを探して突っ込んでくる。