ハイレベルなV争い
シリーズの中心となるのは近畿勢だ。6年連続、9回目のグランプリ出場を決めた村上義弘を中心に脇本雄太、稲川翔、南修二と前後に役者をそろえて優勝争いをリードする。村上は直前の競輪祭で決勝7着。3年連続のタイトル獲得はならなかったが、夏場の膝痛など1年をとおして万全といえるコンディションは多くなかったなかで2度のG1優出は村上の意地と底力と言っていいだろう。グランプリ直前のシリーズとはいえ、出場すれば優勝候補の筆頭格。近畿勢の大黒柱としての存在感を見せる。脇本雄太は競輪祭2989着と大きな着ばかりだったが、連日、深谷や新田祐らと壮絶なモガき合いを演じた結果だ。短走路なら脇本のスタイルが最大限に生きる。豊富な援軍を背に先手必勝とばかり積極策に出るか。稲川は落車、骨折などもあり今年前半は低迷したが、後半戦はオールスター、競輪祭で優出と調子を戻してきた。南修二も後半戦に入り勝ち星が増えており、差し脚好調だ。
深谷知広は競輪祭準決勝で敗れ、5年連続のグランプリ出場を逃してしまった。今年はなかなか成績が安定せず苦しんだが、10月大垣記念で優勝するなど兆しは見せている。このメンバーで力強い走りを見せられれば、来年からの巻き返しに大きな弾みがつくだろう。
南関勢も好メンバーをそろえて迎撃態勢を整える。軸になるのは地元の渡邉晴智だ。Vを量産した今年前半ほどの勢いこそないが、現在も高いレベルで成績は安定している。今シリーズは石井秀治、郡司浩平に和田真久留と南関の機動型は豊富。大会初優勝へ頼もしい味方がそろっている。8月豊橋記念の落車で横突起を骨折した石井だが、走るたびに調子を戻している。競輪祭は最終日の1勝に終わったが、「バランスは戻った」と話すなら完全復活は目前だろう。郡司は競輪祭で3連対。現在、南関勢で最も勢いのある機動型と言っていいだろう。記念ではなかなか結果が出せていないが、今の力なら優出以上の成績も期待できる。和田も競輪祭準決勝に勝ち上がったスピードで南関勢を勝利に導くか。
北日本勢は早坂秀悟、菅田壱道の宮城コンビに内藤宣彦が続く。早坂は競輪祭3日目に節目の200勝を達成。今シリーズも脇本や深谷との主導権争いが見どころになりそう。菅田は多彩な戦法で今年中盤から調子を上げている。後半戦で2Vと差し脚好調な内藤は早坂、菅田と頼もしい機動型を目標に勝負強さを発揮するか。
原田研太朗の機動力も忘れてはならない。今年はダービーを皮切りにビッグレースで3度の優出と大いに成長した。来年からさらにステップアップするためにも、ここで記念初優勝を決めたいところ