魅惑のスピード、新田祐が主役
昨年のグランプリ準Vから中3日で16年を始動した新田祐大は、立川記念着とまずまずのスタートを切った。その後は競技での海外遠征を挟んで2月全日本選抜着、続く奈良記念着。今年最初のG1となった全日本選抜の決勝では、強烈なダッシュを繰り出し渡邉一成を初戴冠へと導き福島勢で確定板を独占した。今期は3場所すべて決勝に進出。昨年のダービーVが新田に新たな効果をもたらしたようで、輪界屈指の爆発力にプラスされて安定感も出てきた。直近の奈良記念では初日特選で大敗を喫したが、二次予選、準決では先行策からの押し切りでマークした和田圭と連日のワンツーフィニッシュ。組み立て面でも進境を見せている新田が、シリーズを通して大きく崩れることは考えづらい。
武田豊樹、神山雄一郎の茨栃のSS班2人は、言わずと知れた実力の持ち主だ。16年初場所の和歌山記念では、初日に落車のアクシデントに見舞われた武田は途中欠場を余儀なくされた。その後は平記念着、全日本選抜着。展開にも恵まれず、今期未勝利の武田だが、すでにダービーへと照準を合わせている。ダービー後のここへは、きっちりと立て直してくることだろう。徐々に感覚を取り戻している神山は、静岡記念で3勝をマーク。決勝では自身も驚きの伸びで99回目の記念を制覇を遂げた。今場所で記念100度目のVの可能性も。
初のSS班の重圧を力に変えて結果へとつなげていた稲垣裕之だったが、全日本選抜の決勝では落車失格を喫した。平記念を優勝してリズム、コンディションともに良好だっただけに悔やまれる落車で、怪我の影響も心配される。今シリーズが復帰戦となるが、どこまで回復しているか初日の動きを見極める必要がありそうだ。古性優作も稲垣とのタッグからV争いに加わってくる。
今シリーズは中四国地区の機動型が充実しているとは言いがたく、岩津裕介、友定祐己、柏野智典の地元勢は苦戦を強いられるシーンもありそうだ。しかしながら、4度目の地元記念Vを狙う岩津を筆頭に、厳しい流れのなかでも活路を見出せるだけの経験を積んでいる選手が多い。混戦に持ち込んでうまく脚力を温存できれば、直線でシャープに伸びてゴール勝負を演じることができる。
近藤隆司は全日本選抜を着。わずか4度目のG1出場で、決勝の舞台を踏んだ。単騎の準決ではロングまくりで、脇本雄太、新田、村上義弘らを撃破して白星を飾っているように一撃の力を秘めている。
中川誠一郎、井上昌己の九州勢も、スピード勝負なら引けは取らない。