地元の諸橋愛が意地を見せる
6年ぶりの記念開催に力の入る諸橋愛。いまも輪界を背負っている平原康多とこれからを担っていく吉田拓矢とともに、関東勢に優勝を手繰り寄せる。昨年は落車禍のなかで2度の記念Vと一定の結果を得た諸橋は、今年も安定した戦績を残している。近況も5月全プロ記念を着。続く防府F1では、初日に落車失格を喫して途中欠場を余儀なくされた。万全の状態とは言えないなかで迎えた高松宮記念杯ながらも決勝に進出。その後、サマーナイトフェスティバルまでおよそ1カ月じっくりと間隔を取れたことが、諸橋の体にはプラスになるだろう。地元バンクは一昨年に2回、そして今年の4月にも優勝を飾っていて、近年はホームとの相性も抜群だ。勝負のツボを心得たバンクでファンの声援に後押しされ地元Vを結実させる。今年の前半は落車に苦しんだ平原だったが、今期一発目の小松島記念で1年ぶりの優勝。思いのほかあっさりとカタのついた決勝だったが、労せずに好位が確保できたとは言え、上がり10秒9のまくりは力が成せる芸当だろう。高松宮記念杯でのG1初経験がさらなる成長を促しそうな吉田は、記念でも期待せずにはいられない。
7月の福井で今年4度目の記念制覇を遂げた浅井康太は、その前の高松宮記念杯を着。遅まきながら今年初のG1表彰台で賞金を加算し後半戦へと弾みをつけた。今年挙げた29勝は、全プロ記念を除きすべてがグレード戦。福井記念の決勝では逃げた松岡篤哉を3着に残したように、番手での立ち回りも自力に劣らず超のつく一級品。今シリーズは、自力、番手の両方を求められる可能性が高いが、どちらの戦いでも何ら不安はなく関東勢にとってはもっとも脅威だろう。
SS班の山崎芳仁に早坂秀悟がいる北日本勢は、早坂のダッシュが生きる流れなら面白い。今年に入りまだ優勝のない山崎だが、流れに身を任せながら新田祐大、渡邉一成の同県の後輩や早坂らと連係から、安定感のある立ち回りを見せている。持ち前の強烈なカマシにさらに磨きをかけている早坂が別線を一気に飲み込めば、付ける山崎には願ってもない展開が訪れよう。
小松島でのケイリンエボリューションを終えた根田空史は、3月から勝ち星が遠ざかっている。南関勢の浮沈の鍵を握る根田は好調とは言い難いものの、積極的な姿勢は失っていない。それだけに同地区のマーカー陣にとっては、頼もしい存在であることに変わりはない。差し脚にかげりのない渡邉晴智の台頭も。
自在性を駆使して別線にプレッシャーを与える松浦悠士が、軽視できない。松浦とのタッグから勝利を模索する岩津裕介の鋭脚も怖い。
川村晃司、椎木尾拓哉の近畿勢や、井上昌己の一発は警戒したい。