村上義、稲垣裕の地元SS班が魅せる
名古屋で4度目のダービー王の座に就いた村上義弘と初のSS班となって凱旋する稲垣裕之のそろい踏み。向日町バンクはいやが上にも盛り上がろう。オールスターでは着と未勝利に終わった村上義だが、ファイナルにコマを進めて大いに存在感を見せた。初戦のドリームの稲垣を皮切り三谷竜、山本伸一と後輩たちの頑張りを肌で感じ優出。決勝では稲垣を引き連れて敢然と風を切り、別線をクギづけにする先行策を披露した。結果、稲垣の初戴冠はかなわなかったがラインでのワンツー。その後は豊橋記念を欠場し決して万全とは言えない状態だが、地元ファンのために村上義が持てる力をすべて注ぎ込む。一方の稲垣は2月全日本選抜での鎖骨骨折からの復帰後は、オールスターに照準を絞り状態を上げてきた。悲願のタイトルはまたもお預けとはなったが、続く小田原記念着と力走。怪我の影響を感じさせないデキには戻っている。リオ五輪での経験が必ずや本業でもプラスに作用する脇本雄太のスピードも魅力。もちろん、追加で地元記念出場が決まった山本も気合十分。役者のそろった近畿勢が、ラインの競輪でシリーズの流れを掌握する。
地元の近畿勢にとってもっとも脅威になるのが、豊橋記念を完全Vで記念初制覇を遂げた吉澤純平と芦澤大輔の茨城勢か。その吉澤は先行を主体にケレン味ない走りを見せている。が、一介の先行選手にはないセンスと横にも動けるのが強み。芦澤も6月青森では新山響を倒して優勝するなどレースの流れの中で見せる捌きにはさすがのものがある。勢いある吉澤と芦澤がどんな作戦で分厚い近畿ラインに立ち向かっていくのか興味は尽きない。
2月当所のF1で吉澤とのまくり合戦を制して優勝を飾っている山田英明。ここ一番での勝負に滅法強い坂本亮馬の2人が、九州勢をけん引する。直近の四日市F1でもV奪取の山田は、破壊力抜群のまくりを武器に勝ち星を積み重ねている。一撃には注意が必要だろう。
走るたびに力をつけている渡邉雄太に内藤秀久、2班ながらも快進撃を続けている成清貴之までいる南関勢。前述した近畿、関東に戦力的には劣る感は否めないが、渡邉次第では成清らの浮上があっていい。
山崎芳仁を軸に、飯野祐太、根本哲吏と動ける選手がそろう東北勢が、波乱を呼ぶシーンもありそうだ。特に山崎は自力と番手戦の使い分けに苦しみ、大きい着が目立つ近況だが、数字ほどデキは悪くない。SS班の1年をこのままでは終われないだけに、そろそろ巻き返しの端緒をつかみたい。また、小嶋敬二、山内卓也とネームバリューのある選手を擁する中部地区や、中四国の追い込み陣も軽視できない。