深谷知の参戦で厚みました中部勢
9月の共同通信社杯を逃げ切りビッグ初制覇を果たした竹内雄作を擁する中部勢が、今シリーズをリードする。竹内は、直近の競輪祭での逃げ切りの2勝を加えて、今年は32勝を挙げ、優勝も6回を数える。自らのスタイルをストイックに追求しながら、徹底先行で輪界屈指の機動型へと成長した。まだ荒削りで主導権を握れないと脆い面もあるが、絶大なパワーを感じさせる先行は大きな魅力だ。今年のグランプリに参加する選手不在なら記念初優勝の絶好のチャンスだ。昨年と比較して優勝、勝ち星がともに下回っている金子貴志だが、競輪祭を含めG1で3度の決勝進出。番手でのスキルアップが目につき冷静な立ち回りが光っている。昨年の当所記念のVは竹内の仕掛けに乗ってつかんだものだ。さらに、深谷知広が追加配分での参戦で、金子のチャンスも広がってくる。その深谷は、直近の伊東記念を着。決勝はシンガリに沈んだが、シリーズを通しての動きは上々だった。力さえ発揮できれば、順当に決勝にコマを進めて、竹内、金子との連係で別線に反撃の隙を与えない強固なラインを作り上げよう。
いまや押しも押されもせぬ中四国のエースとなった原田研太朗が、地元勢の浮沈の鍵を握っていると言っても過言ではない。静岡ダービーのゴールデンレーサー賞、競輪祭のダイヤモンドレースといったG1の超一流が集まる優秀を制しているように、一級品のスピードを備えている。高速バトルに持ち込んでのまくり勝負で好成績を収めているが、山田英らを押さえて逃げ切った直前の岸和田記念の最終日と同様、中国勢に気遣う先行策に出ても他を一蹴できる力は十分にある。01年の藤井久之以来の地元Vに燃える松浦悠士、池田良も虎視眈々。とくに競輪祭で新車を投入して戦法の幅を広げている松浦への期待は膨らむ。
園田匠、北津留翼の九州の2人も、展開次第で台頭のシーンがあっていい。残念ながら2年連続のSS班はかなわなかった園田だが、踏める感触が戻って競輪祭の二次予選、岸和田記念着の2日目優秀戦など随所で真骨頂の“突っ込み”を披露している。また、北津留は11月の防府で9年ぶりの記念V。続く別府も7番手まくりでVと淡泊な走りから脱却しているのは好材料だろう。
3日制を含め4度も当所記念を制している神山雄一郎にも注目。ここ4場所は勝ち星から見放され、競輪祭を着。伸びを欠くシーンも見られ不安もあるが、相性抜群の当所で流れを取り戻したい。9月四日市の落車からややリズムを乱す金子幸央を好操縦し台頭を目指す。
川村晃司、市田佳寿浩の近畿勢。川村は鎖骨骨折から競輪祭で復帰。一戦毎に感覚は戻ってきており、ここも強敵相手に先行主体に攻める。実績では引けを取ることない佐藤慎太郎も、飯野祐太や坂本貴史らとの連係から展開ひとつで浮上がある。