北勢が強力布陣
新田祐大に地元は新山響平、坂本貴史のツートップ。自力タイプが質、量ともにそろった北日本勢が優勝争いをリードする。なかでも新田の近況は突出している。ナショナルチームでのハードなトレーニングの成果か、5月函館記念から5場所で3V。8月のオールスターでも連日、爆発的なスピードを見せ、決勝では渡邉一と福島ワンツーを決めた。競技との両立ではなく融合。完成形に近づきつつある新田が、ここも持ち前のスピードで魅せる。新山、坂本にとってもここは負けられないシリーズだ。新山は6月高松宮記念杯の敗北から練習量を増やした。オールスターは大きな着こそ並べたが、3走目をのぞけば悲観するようなレース内容ではなかった。坂本も最近は準決勝敗退が続いているが、調子自体は悪くない。いかに自分の勝てる展開に持ち込めるかといったところだろう。ともに北日本勢にとっては欠かせない存在だ。成田和也の地元オールスターは落車に失格と散々な結果に終わったが、続く岐阜の走りを見るかぎり大きな影響はなさそう。成田の援護は他地区の機動型にとっても脅威。スジの目標豊富なチャンスを生かしたい。
そろった地元勢に襲いかかるのは昨年度の覇者、深谷知広だ。8月川崎ナイターG3ではバンクレコードタイとなる上がり10秒6で優勝。オールスター決勝は新田のまくりに屈したが、打鐘で後ろの竹内雄が落車するアクシデントがなければ結果は違っていただろう。今年から競技を再開したことが競輪の強さにも結びついている。中部の追い込み陣にやや元気がないが、個の力でも北日本勢と互角の勝負は可能。今年も決勝で新田とスピードバトルを展開する。
近畿勢には稲川翔、椎木尾拓哉と力のある追い込み型がそろっている。稲川は今期、着外がわずかに3回と安定感抜群。山田久徳、松岡健介とスジの機動型もいるし、番組次第では深谷との連係もありそう。条件は椎木尾も同じだが、椎木尾は8月広島で落車している。好条件を生かせるかは体調次第になりそうだ。
南関勢も松谷秀幸、和田真久留の両機動型に渡邉晴智と戦力は充実している。松谷は結果がついてきていないだけで、状態は高いレベルで安定しているし動きもいい。和田もスピードなら新田、深谷と互角で、勝ちっぷりは鮮やかだ。神奈川コンビに堅実な渡邉が加われば他地区にとっても脅威となる。
西の遠征勢は松浦悠士、香川雄介に園田匠と曲者ぞろい。最近はイン粘りを見せるなど位置取りシビアな松浦に9月向日町記念で決勝2着の香川。園田の鋭い末脚も争覇圏内だ。
神山雄一郎の存在も忘れてはならない。上位の機動型が手薄で苦戦は強いられそうだが、8月小田原記念でも優出するなど走りに衰えは見られない。