息が合う京都コンビ
3年連続でのグランプリ出場は果たせなかった稲垣裕之だが、対戦相手に精神的なゆとりを与えない強気の競走に変化は見られない。残すところあと1カ月で、今年の優勝ゼロは意外ながら全日本選抜、高松宮記念杯とG1大会で2回の決勝進出を果たしているし、記念開催ではほとんどの場所で優参していて、現在の賞金ランクは第12位。SS班の自力型として存在感は大いに示している。競輪祭の最終日に落車して、12月伊東記念は欠場となっているので体調には一抹の不安が残るものの、問題がないようならSS班として走る今年最後のレースをVで締めよう。稲垣の後ろは同郷同期で連係実績が豊富な村上博幸が固める。村上は11月大垣記念決勝で稲垣をマーク。三谷竜が不発とみて最終バックから自力に転じた稲垣を差して5年ぶりのG3優勝を飾っている。稲垣にとっては最も頼れる味方ながら最大の敵ともなりそうだ。京都コンビと野原雅也の連係が叶うようなら、京都コンビの優位は更に拡大する。野原は競輪祭の二次予選で落車、3日目以降は欠場している。ただ、後遺症がないようなら京都コンビを引き連れて積極的に主導権を握り、他の自力型を沈黙させる可能性も大いにあるだろう。
昨年の当大会を制している原田研太朗も有力な優勝候補の一人だ。昨年の決勝は竹内雄作が逃げると、原田は中団を確保。深谷知を後方に置く理想的な展開に持ち込み、最終バックからまくる会心のレースだった。12月取手では遅ればせながら3連勝で今期初Vを達成。決勝は伊早坂駿、杉森輝の地元2段駆けをねじ伏せていて調子も申し分ない。昨年の決勝のように好位確保してのまくりに持ち込めれば連覇は十分。原田にとっては小倉竜二のマークは心強い。輪界では名うてのレース巧者で、9月向日町記念で優勝、10月熊本記念in久留米では準V、41歳ながら差し脚に陰りは見られない。特に久留米の決勝は目標の中川誠が不発とみるや、直線で中寄りのコースに進路を取って伸びていて、小倉の真骨頂といえるレースだった。
地元の松浦悠士はまずまずの近況だ。11月防府記念で優参、競輪祭2日目は特一般戦ながらまくって勝っている。松浦が頼りにするのは非凡なスピードを持つ河端朋之。仕掛けがツボにはまった時の自力攻撃には素晴らしい破壊力がある。河端が好発進なら松浦の地元記念Vも。
最近の竹内は成績に波がある。自分のペースで駆けた時の粘り腰は相変わらずながら、まくりに回された時のもろさが目立っている。主導権を握れるかどうかが浮沈のカギだ。近藤龍徳が竹内を援護する。
自力攻撃に凄みを増している吉澤純平からも目が離せない。11月防府記念着以後は病欠しており体調は気になるものの、問題がないようなら優勝争いを賑わす。