強い気持ちで臨む浅井康
短走路で実施された寬仁親王牌は見応えあるスリリングなレースの連続だったが、代償として落車が頻発し、今節の主力の何人かもその影響が心配される。そういう状況にあって、浅井康太が主役の座を全うする。親王牌で浅井は4619着。連日単騎戦となり、勝ち星は柴崎淳と組めた準決のみに止まったが、状態の良さを本人が実感していたのなら、やってくれるはず。賞金での出場は確実なグランプリへというモチベーションはなくなったが、中部を背負って立つ選手としての責任感が浅井を動かそう。再び自力勝負が中心となるも、平原康や古性優作らを破った8月富山記念と同様に、流れの中で反応良く好位を取り切っての仕掛けで結果を出す。毎年、この大会を盛り上げてきた深谷知、金子貴志の師弟コンビだが、競技に専念する深谷が不参加、金子も親王牌の落車があまりに痛い。また、ヘルニアに苦しんだ吉田敏洋も本調子には程遠く、浅井の奮闘にどこまで食らい付いていけるか。
古性を軸に、稲垣裕之らがいる近畿勢にも魅力を感じる。古性は親王牌を終えた時点で賞金ランク12位。現在、ボーダーの8位にいる原田研との差は630万円ほどで、ここを勝って少しでも差を詰めたいところ。親王牌は準決敗退に終わったが、3182着で3度の確定板入り。セッティングが出て、車も伸びていたのならV獲りは有望。親王牌の準決は柴崎の番手を回った浅井にまくりを合わされて負けただけに、しっかりレースを組み立てて雪辱といきたい。稲垣は親王牌を初戦で失格と相変らず迷走が続き、復調へのキッカケが欲しいところだ。
賞金ランク7位の武田豊樹も今が正念場。やはり親王牌の落車で体調に不安はあるが、11月には地元取手記念、競輪祭と勝負のレースが続くので、ここの走りも注目される。関東は大黒柱の武田以外にも鈴木竜士、金子幸央、長島大介の栃木コンビと健脚がそろい、特に鈴木は8月小田原でのブロックセブンを勝ってから好走続きだ。鈴木が前なら、武田も心強い。サマーナイトフェスティバルの初日特選で連係した時は深谷にまくられたが、鈴木がダッシュ良く先制なら、武田は腕の見せ所だ。
南関も地区の勢いが戻ってきた感じ。渡邉雄太、岩本俊介の機動型に加え、渡邉らとの連係で9月青森記念を制した山賀雅仁、復調途上ながら松谷秀幸もと総合力でここも負けていない。
小松崎大地、山崎芳仁の福島両者が中心の北勢も侮れない。小松崎は親王牌でG1初優参。初日には脇本雄を破るヒットを飛ばした。山崎も親王牌では2勝。怪我から着実に上向く小川真太郎らの中四国勢も一発怖い。