地元は譲れない武田豊
武田豊樹が6年ぶり4度目の地元記念制覇へ全身全霊を傾ける。今年は3月松山ウィナーズカップで久々のビッグ制覇を果たした。後半戦は度重なる落車に苦しんでいるが、競輪に対して真摯に取り組む姿勢は変わらない。現在、賞金ランキング7位でグランプリ出場争いの渦中にいるだけに、これからが正念場だ。しっかり戦える状態に戻して11月を迎える。地元記念で結果を残して、競輪祭に弾みをつける。武田にとって心強いのは吉澤純平、鈴木竜士の存在だ。前回大会覇者の吉澤は関東を代表する機動型に成長を遂げた。2月四日市の全日本選抜、6月岸和田の高松宮記念杯と今年2度のG1優出を決めている。後半戦に入って失速気味だが、気持ちが入る地元記念で流れを変える。師匠の武田の前で失敗はできない。鈴木は8月小田原ブロックセブン、9月四日市F1で連続優勝。その後もF1シリーズながら抜群の安定感を誇っている。好調時のダッシュ、スピードは完全に戻っている。地元記念は意外にも初出場。ファンの前で全力を出し切る。
南関勢は戦力が充実している。山中秀将、根田空史の機動型2枚に、自在型の松谷秀幸、和田健太郎、五十嵐力と追い込み陣もしっかりしている。山中はダッシュを利かしたタテ攻撃が冴えている。3月玉野から5連続で記念優出していたが、肝心の10月千葉記念in松戸で準決勝敗退を喫した。悔しさをここで晴らす。根田は相変わらず波が大きいが、はまった時の爆発力はケタ違いだ。和田は差し脚堅調。展開不問で上位争いに食い込める。松谷も落車の怪我からは立ち直ってきている。五十嵐は9月小倉F1、10月防府F1でともに準優勝と、調子は上昇カーブを描く。南関勢が大挙して決勝に勝ち上がれば、ラインの力で他地区に対抗できる。
九州の新星、山崎賢人の走りからも目が離せない。G1初出場の8月平オールスターでいきなり決勝に乗ると、9月高知の共同通信社杯は初日から3連勝でビッグ連続優出を果たした。10月前橋の寬仁親王牌は脇本雄に準決勝で敗れ優出こそ逃したが、シリーズ3勝。取手は初参戦だが、勢いそのままに記念初優勝まで駆け上がるか。山田英明が追加参戦。賞金ランキング11位とグランプリ出場を狙える好位置につけているだけに、ここで賞金の上積みがほしい。一戦一戦が勝負だ。決勝で山崎と連係できれば、チャンスは大きい。落車、失格が続いている大塚健一郎は悪い流れを断ち切りたい。
山崎芳仁は近況、目立った活躍こそないが、白星が多く底力はまだまだ健在だ。流れさえ向けば勝ち負けできる。
総力戦で挑む松浦悠士も混戦になれば出番が巡ってくる。稲垣裕之、椎木尾拓哉の近畿勢も忘れてはなるまい。