ワントップ脇本雄太の独壇場
決勝までの勝ち上がりは東西に分かれて争うG1戦だが、脇本雄太のワントップ体制に変わりはない。ダービーでも脇本は衝撃的な強さだった。3連勝で決勝に進出すると、決勝もまくりで完勝。短走路で8番手に構えてのホーム発進で、先まくりの清水裕友らを飲み込んでしまったのだから、まさに規格外だ。ダービー後はロシアでの競技大会を転戦しているが、ドミトリエフらを破って金メダルを複数獲得と順調そのもの。相変らずスケジュールはタイトだが、ウィナーズカップを優勝した後、1日も休まず競技の練習のみしてダービーを制した脇本には関係ない。競技用に近付けたフレームもバッチリで、ここも自分のタイミングで仕掛けて敵を一蹴する。近畿は脇本だけではないと、地元の古性優作に、三谷竜生、村上義弘、博幸兄弟のS班勢も燃える。古性はダービー決勝で脇本と連係。ワンツーは決められなかったが、脇本の仕掛けにしっかり続いており、今回はどこまで迫れるか。大黒柱の村上義が5月宇都宮記念で復活のVを果たしたのも好材料だし、好走が続く村上博の存在も大きい。昨年大会覇者の三谷竜生が本来の力強さを取り戻せば盤石の布陣だ。
引き続き勢い持続の中四国勢からも目が離せない。地区の顔となった松浦悠士は今年ここまで3回のビッグレース全てで優参。自在選手として完成された。そして、清水、太田竜馬がけん引役として大暴れ。清水はダービーで準V。準決では新田祐大、郡司浩平らに逃げ切りとS班らしいパワーが蘇った。スーパープロピストレーサー賞を強烈なカマシで制した太田も着実に実力アップ。脇本の壁は高いが、優勝者を出せるかもという期待を抱かせる。
昨年オールスター以来のG1だったダービーで優参。ナショナルチームの底力を示した深谷知広も忘れてはなるまい。浅井康太が不在の中、再び豪脚で中部を盛り上げる。山崎賢人、山田英明に、中川誠一郎の九州勢も一発ムードが漂う。
一方、東日本地区の軸になるのは、新田、菅田壱道、新山響平、佐藤慎太郎らの北勢か。今年初戦となったダービーでは今一つかみ合わなかった新田だが、脇本と並ぶポテンシャルの高さは疑うべくもない。レース勘が戻れば他を圧倒しよう。4月のあっせんが止まった期間をプラスに変えた菅田もダービーに続く表彰台を視野に入れる。
郡司、渡邉雄太、和田真久留をはじめ、南関勢も戦力が整っている。郡司は自力だけでなく、展開次第で何でもできるのが強み。4月川崎記念でのVなど近況は非常に安定している。ウィナーズカップ、ダービーとビッグを連続優参中の渡邉の勢いも本物だ。
平原康多の巻き返しも見もの。不本意な結果が続くが、それでも随所にキレのある動きを披露している。自力、番手と使い分け“らしさ”を発揮するか。