東日本一色のV争い
東日本地区では初となる7車立9レース制の記念開催。初日、2日目の合計ポイント上位者21名が準決に進出するシステムで、小松島記念では合計7ポイントまで20名と6ポイント1名(6名のうち競走得点最上位者)が準決に駒を進めた。9車立に比べるとレースが単調でスピードレースが多かった印象だが、S班の松浦悠士、清水裕友はともに準決を1着でクリアしている。レース形態や概定番組が変わっても実力を素直に評価すべきだろう。
S班の3名はさすがの走りを披露しているが、中でも平原康多は抜群の安定感を誇っている。全日本選抜は準V、高松宮記念杯では東日本準決1着で決勝進出。記念開催は1月大宮、3月松山で優勝している。今年の3連対率は76・4%。高いステージのレースばかり走っての数字だけに高く評価していいはずで、優勝に最も近いとみて中心視した。もちろん基本は自力勝負だが、6月取手記念の二次予選Aで前を任せた同県の森田優弥、同じく決勝で前を任せた吉田拓矢らと一緒なら番手戦も考えられる。この開催にかける思いが最も強いのは諸橋愛だろう。地元であるのは言うまでもないが、この大会は67、68、69周年と3連覇中。今シリーズは4連覇がかかるだけに並々ならぬ意欲で臨んでくるはず。高松宮記念杯は二次予選で上位進出の権利を逸したが、最終日特選で1勝。目標にしていた逃げた吉澤純が清水裕―橋本強にまくられると、3番手に切り替えて直線で突き抜けた差し脚は鋭かった。チャンスが巡ってくればものにできる状態にある。地元勢では鈴木庸之も調子は上向き。6月青森G3で4着、続く同月川崎着。腰のヘルニアの影響で10カ月近くも実戦から離れたが、徐々に機動力が戻ってきている。
郡司浩平の躍動感も際立っている。仕掛けどころを逃がさない攻撃的な自力勝負は存在感抜群だし、結果も伴っている。3月玉野記念、6月取手記念の優勝を含み今年は31走して17勝。勝率は5割を上回っている。根田空史、鈴木裕、堀内俊介と今シリーズの南関勢は自力型がそろっているので、幅広い組み立てが可能だ。好連係を決めれば南関勢から優勝者が出てもおかしくない。
もう一人のS班佐藤慎太郎は、ベテランならではの安定プレーを演じている。今年はまだ優勝には手が届いていないものの、全日本選抜、高松宮記念杯で優参するなど、決勝を外したのはウィナーズカップだけしかない。佐藤には同県の渡邉一成、小松崎大地の存在は心強い。低空飛行が続いていた渡邉は自慢の快速が甦ってきているし、小松崎は高松宮記念杯の東日本準決で先行するなど好気合を見せている。