SS班の自力型による競演
記念開催ではこれ以上は望めぬほどの好メンバー。熾烈なV争いだが、オールスターで2つ目のG1をゲットした松浦悠士が人気を集めよう。脇本雄との壮絶なデットヒートの末に、脇本に踏み勝った決勝戦はまだ記憶に新しく、松浦の持ち味が存分に発揮された会心のレースだった。展開に即応できる機敏さに加え、調子の波が少ないのも松浦の強みで、今年はグレードを問わずまったく決勝を外していない。優勝もオールスター、ウィナーズカップ、G3は和歌山、高松、武雄で達成。スーパープロピストレーサー賞まで加えると6Vにもなる。今シリーズは清水裕友の存在も心強い。前後は流動的だが、今年のグレードレースを席巻してきた中国ゴールデンコンビで優勝争いをリードする。清水も今年の成績は素晴らしい。ビッグレースでは全日本選抜、サマーナイト、G3は立川、久留米で優勝をものにしている。オールスターでは欠着と珍しく大きな数字を並べたものの、8月松戸着の予選2、準決は先行して粘っていて、絶好調とはいかないまでも立て直しに成功。松浦の番手回りなら展開有利に抜け出す場面は十分だ。
強力な中国コンビを撃破すれば郡司浩平だろう。オールスターは準決4着で惜しくも優参は外したものの、ドリームレース、シャイニングスター賞はともに2着。8月小田原記念の初日特選では、会心の逃走劇を演じて松浦を破っている。今年の勝率は5割(昨年は33・3%)と高く、持ち味である攻撃的な自力勝負には一段と磨きがかかった印象だ。好スパートを決めて首位に躍り出る可能性は大いにあろう。和田健太郎が郡司を援護する。この両者は連係実績が豊富で、全日本選抜のスタールビー賞、高松宮記念杯の初日東日本特選など、G1でもワンツーを決めている。和田に落車の影響がなければ、南関コンビで連独占は考えておきたい。
輪界を代表するオールラウンダーの浅井康太をはじめとして、地元の竹内雄作、志智俊夫とそろった中部勢も好勝負が見込める。今年はSS班の座を明け渡した浅井だが、持ち前の自在戦が冴え渡っている。高松宮記念杯、オールスターはともに準決4着で決勝には届かなかったものの、G3では3Vを達成。当所記念は63周年大会を浅井が制した後は、中部勢から優勝者が出ていないだけに、意地を見せたいところだ。
稲川翔、野原雅也の近畿勢も忘れてはならない。最近の稲川は伸びが良く、高松宮記念杯、サマーナイトとビッグレースで続けて優参、オールスターでも一次予選を勝っている。スピード光る野原雅也もオールスター着の動きは力強かった。稲川の援護はとても手厚いだけに野原は落ち着いて走れるはずで、野原が好機に仕掛けて主導権を握った時の稲川の連進出には要一考。