激しさ増すスピードバトル
舞台が無風のドームバンクで短走路となれば、いつも以上にスピードがものをいうレースになることが多いはず。輪界トップの脚力を誇る脇本雄太が優勝に最も近いとみるのが順当だろう。今年は高松宮記念杯から本業の競輪に参戦した脇本は、無傷の4連勝でいきなりG1を制覇。その後はオールスター準V、共同通信社杯は1着。オールスターで優勝をさらわれた松浦悠士は原田研太朗を利しての2段駆けだったし、共同通信社杯の決勝は、単騎で9番手からの仕掛けだったため、前までがあまりにも遠かった。力負けで勝てなかったレースではない。自慢のスピードを遺憾なく発揮して一昨年以来となる寬仁親王牌2V目を達成しよう。近畿勢では古性優作、稲川翔の動きがいい。両者ともに脇本に食い下がってのワンツー実績があって目が離せない。
オールスターでG1大会2V目を達成した松浦は、その後は優勝には手が届いていないものの、安定感抜群の成績を残している。9月岐阜記念、共同通信社杯はともに準V、8月小田原記念、9月青森記念はともに決勝3着と決勝で確定板を外していない。ハイレベルな脚力、展開に即応できる機敏さに加え、最後まで諦めない勝負に対する執念が今の成績につながっているのだろう。獲得賞金ランキングは2位以下を大きく引き離してトップを突っ走っている。今大会でも主役を演じても不思議ではない。僚友の清水裕友は、全日本選抜を制してタイトルホルダーの仲間入りを果たすと、サマーナイトも着と手中に収めた。その後はやや調子を落としているが、10月熊本記念着と戦えない状態ではない。松浦との前後は流動的なので動向には注目したい。
ここのところ素晴らしいスピードの切れ味を披露している郡司浩平も有力な優勝候補だ。まくりの破壊力は相変わらずだし、先行で押し切るレースも目に付く。今年の勝率は55%で、昨年の33%を大きく上回っている。持ち味の自力攻撃に一段と磨きがかかった証拠だろう。好スパートを決めて待望のG1初Vも大いにありそうだ。
ワールドクラスの快速を遺憾なく発揮している新田祐大の単にも魅力を感じる。共同通信社杯1着、9月青森記念着と勝ち星を量産中。最近は仕掛けも早くなっていて、前記の2場所では最終バックを6本も取っている。自信を持って走れているだけに、好発進を決めて首位に躍り出る場面も十分。佐藤慎太郎はベテランならではの安定プレーを演じている。今年は優勝こそないものの、連対率は5割超、獲得賞金ランキングは第7位に付けている。福島ワンツー決着は考えておきたい。
共同通信社杯では初日に落車した平原康多だが、大事には至っていない模様。自在戦が奏功なら勝ち負けに持ち込める。
山田英明は獲得賞金ランキング8位。共同通信社杯の決勝は無念の1着失格となったが、連日の動きは悪くなかった。グランプリ出場権獲得に向けて正念場だけに気合が入る。