S班清水裕がねじ伏せる
6月久留米記念はスピードに本来の切れがなく、3日目から欠場した清水裕友だが、この開催だけで評価を下げる必要はあるまい。高松宮記念杯直後の開催で一息入ったとみるのが自然だろう。サマーナイトフェスティバルでは着と面目を施しており、このシリーズも本来のパフォーマンスを披露するとみて中心視した。前期はウィナーズカップで優勝、G1では全日本選抜、ダービー、高松宮記念杯とすべて決勝に乗っていて、S班に相応しい戦歴を残している。
もう一人のS班である佐藤慎太郎も戦歴は高いレベルでまとめている。今年はまだ優勝には手が届いていないものの、ダービーの決勝3着は松浦悠、郡司浩とデッドヒートを演じ、高松宮記念杯は東準決1着で決勝に乗っている。佐藤にとって連係実績が豊富な新山響平の存在は心強い。ダービーの特別選抜予選では新山の逃げに乗って勝ち星をゲットしている。好展開をものにして首位に躍り出る場面は大いにありそうだ。その新山は相変わらず積極的な組み立てが目立つ。今期初戦の7月小田原は根田空や石原颯らを寄せ付けず完全優勝しており、自慢のスピードを活かした迫力満点の先行はS班に見劣りしない。
底力ある山田英明も有力な優勝候補の一人だ。前期はウィナーズカップで決勝に乗ったものの、一息不足の成績に終わっただけに、後期はエンジン全開といきたい。7月名古屋の初日特選は、単騎ながら好位置確保からまくりを繰り出し浅井康らに快勝した。うまくレースの流れに乗って自力を出せれば好勝負に持ち込める。九州勢では中川誠一郎も侮れない。相変わらず成績には波があるが、仕掛けがツボにはまった時の勝ちっぷりは豪快そのもの。
地元地区の四国勢では松本貴治、佐々木豪の愛媛コンビに期待がかかる。特に松本は自力攻撃の破壊力が増した印象だ。地元の1月松山記念でG3初Vを飾ると、全日本選抜、ダービーでは一次予選で勝ち星をゲット。更に高松宮記念杯の二次予選は逃げて2着、山口拳矢の反撃を許さなかった。タイミングよく仕掛けられれば一発があっても不思議ではない。
鈴木庸之、長島大介、眞杉匠と自力型がそろった関東勢も侮れない勢力だ。直近4カ月の競走得点が112点台の鈴木は、全プロ記念着。優秀戦を制しスーパープロピストレーサー賞に乗った。最近の長島は先行での連がらみが多いように積極的な競走が目立つ。今年の連対率は4割超で、結果も出している。自力攻撃に一段と磨きがかかった眞杉は、ダービーでは着と大ブレイク。その後も溢れるパワーで別線をねじ伏せていて、関東勢の先頭で強気に攻める。
村上義弘、山本伸一の京都勢も軽視は禁物。村上は54、66周年とこの大会は2Vの実績がある。好展開が巡ってきたときはきっちり連にからんでいて、まずまずの近況だ。山本は当所は旧ホームバンクで、67周年大会では決勝に乗っている。