輪界を代表する健脚の競演
今シリーズの優勝のゆくえを大きく左右するのは脇本雄太の体調だろう。腰椎を痛めていて、昨年10月の火の国杯争奪戦in久留米2日目から実戦に姿を見せていない。 トップスピード、ダッシュ力、航続距離と3拍子そろった脚力は輪界トップだけに、完調とまではいかなくても、ある程度の体調での参戦なら中心視できるが…。
本命には21年の最優秀選手賞に輝いた古性優作を推した。今年の走り初めだった1月和歌山記念着は、好調と言えるような走りではなかったが、この開催の後は全日本選抜なのでここまでには確実に調子を上げているはず。和歌山記念以上のパフォーマンスを披露しよう。昨年オールスターの決勝でワンツーを決めた脇本、地元の三谷竜生と好連係して主役を演じる。三谷は67周年の覇者。特に目立つ近況ではないが、この開催までには間があるので、練習、調整ともに思い通りにやれるはず。大会2V目をゲットする場面もありそうだ。
昨年は素晴らしい成績を残した松浦悠士を中心視する手も十分。ダービー、サマーナイトフェスティバルとビッグレースで2V、G3では7Vを達成した。今年初戦の1月和歌山記念は着。準決では根田空の逃げをまくりで仕留めて優参していて、まずまずの動きだった。昨年の8月松戸記念では逃げ切って優勝しており、短走路なら先行も視野に入れた組み立てで優勝を狙う。
関東勢は強大な勢力を誇る。吉田拓矢、宿口陽一のSS班2名に諸橋愛、佐々木悠葵の上越勢。ただ、吉田は1月立川記念でV発進を決めたものの、続く大宮記念で落車。左膝膝蓋骨脱臼で全治約1カ月の診断が出ていて、完調での参戦は望めそうにない。宿口は順調に来ている。1月大宮記念の決勝は、地元ライン4車の番手を回り、役割をきっちり果たして平原康の優勝に貢献した。諸橋は1月向日町は欠場、同月前橋は開催中止で今年はまだ1走もしていない。調子の判断はできないが、ベテランなので不安はあるまい。
12月広島記念で落車し、右鎖骨を骨折した守澤太志。グランプリには参戦したが、1月の立川記念は欠場している。新山響平、渡邉一成ら北日本には自力型がそろっているので、調整が進んでいるようなら勝ち負けに持ち込んでも不思議ではない。1月伊東は決勝を外すなど今ひとつだった新山だが、昨年後半戦は寬仁親王牌で決勝に乗ると、競輪祭は着と大活躍。持ち味の自力攻撃には一段と磨きがかかった。先行有利な短走路なので好機に仕掛て主導権を握れば押し切りも。
中川誠一郎、園田匠の九州勢も忘れてはならない。中川は1月佐世保着と今年はVスタート。準決は山崎賢のまくりに乗ったとはいえ、あまりタイムの出ない冬場で上がり10秒7のバンクレコードを叩き出している。園田も今年は初戦の1月小倉でV。相変わらず差し脚は切れている。